2006年12月27日水曜日

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「クイーンの色紙」を探せ!

 


ある女の告白

結局、また手を出しちゃった……。あのクスリに。

ダメだってのはわかってる。この公開の場で、こんな話をしちゃ良くないってのもわかってる。でも、苦しくて、我慢できなかったの。

アレを吸い込んだら、そのうち、すーっと解放された気分になってくるの。ちょっとむせる時もあるけど、あんなの、苦しいうちに入らない。何よりも、クスリを我慢している時の苦しさに比べたら、あんなもの……。

貴男には黙ってたけど、前からね、たまにこっそり吸引していたの。もちろん、バレないようにね。信じられない? どうして? 貴男は私の全てを知っていたとでも言うの? 冗談じゃないわ

え、どうやって手に入れたかって? そんなの簡単よ。アイツにちょいちょいと紹介状を書かせて、その紹介状を持って売人のところへ行けばいいだけ。簡単でしょ? 売人? 売人なんて、そこらじゅうにいるじゃない。まだわかんないの?

でも、このことは誰にもしゃべっちゃダメよ。街で偶然つぶやきシロー似の井上公造に会ったとしても、絶対口にしちゃダメ。あたし一人の問題じゃないんだから……。これは貴男と私だけの約束よ。わかった?

というわけで

いつまでも「北関東・長野『視察』旅行」の話を続けてもしょうがないので、今日は一旦趣向を変えてみることにしました。まずは、いつものこのコーナーからどうぞ☆

前回の傾向と対策

それではお伝えします。

まず冒頭の「あわび」ですが、著者の釈明によりますと、「真剣に打ち間違えた」とのことでした。どうやら真剣に疲れていたものと思われます。

次に「渋谷から神泉」ですが、ご存じの通り「神泉」は渋谷の次の駅です。しかも、歩ける距離だという説もあります。また、「下北」を「下北沢」ではなく「下北半島」と解釈するあたり、この著者(誰だよ)はもしかするとかなり痛いのではないかと推測されます。

"Love Train" は、多摩ネットワークこと「TM Network」の名曲です。ところで、ヴォーカルを務めた宇都宮隆さんは今何をしているのでしょうか。木根尚登さんは「トリビアの泉」に出演されていましたが……。

日本中央の碑」につきましては、リンク先を参照ください。

またあした、この時間に、この研究室でお待ちしております」は、以前にも出てきましたね。CX の伝説の深夜番組「カノッサの屈辱」で、仲谷昇扮する歴史学者が、番組を締める際の名セリフです。岸田今日子さんも亡くなったとのことで、追悼の意味も含めて「もう一回使った」とのことでした。

以上、傾向と対策のコーナーでした♪

ありがとうございました。それでは、今日の本題です。

今日のお薦めの一冊

私が、鮎川哲也の本格推理小説が好きなことは、何度か書いた記憶があるのですが、今日はせっかくなので(?)、お薦めの一冊を紹介しましょう。題名は「クイーンの色紙」と言いますが、突然フレディ・マーキュリーが出てきて「ばーっせろぉーなー♪」とシャウトすることはありませんのでご安心を。

鮎川哲也が生み出した「探偵」たち

鮎川哲也は、旧満州育ちで、引き揚げ後は九州の片田舎で病気療養しながら、若くして「ペトロフ事件」や「黒いトランク」などの名作を書き上げています。これら初期の名作には、「鬼貫刑事」と、その相棒の「丹那刑事」といった、「とにかく足で稼ぐ」タイプの「探偵」(刑事ですけどね)が登場していました。

その後、鮎川は、鬼貫とは全く違う「超人探偵」タイプのキャラクターとして、「貿易商・星影龍三」というキャラクターを生みだし、「りら荘事件」などの作品で活躍を見せることになります。

「三番街のバーゲン」じゃないよ

今日、皆さんにご紹介したい「クイーンの色紙」には、鬼貫刑事も星影龍三も登場せず、「三番館のバーテン」という、"Armchair Detective" だけが登場します。Armchair Detective、すなわち「安楽椅子探偵」とは何ぞや、という話ですが、アガサ・クリスティのミス・マープルに代表される、「事件の現場におもむかずして、事件の真相を解き明かす」タイプの探偵のことです。

「三番館のバーテン」は、どちらかと言えば星影龍三に近いのですが、とことん気障なキャラクターとして演出されていた星影龍三とは違って、「三番館のバーテン」は、バーテンだけあってとても人当たりが良く、また、事実上の主役であるにもかかわらず、ついぞ本名すら明かされることが無かったという、鮎川らしい人を食った演出も施されていました。

ちなみに、「三番館シリーズ」は短編中心で、数年前に「創元推理文庫」から 6 冊ほど復刻されたので、今なら簡単に手に入る筈です。詳しくは、Bojan の本棚からどうぞ。

「三番館シリーズ」の秘密

ちなみに、「クイーンの色紙」には出てこないのですが、通常の「三番館シリーズ」には、「わたし」という、刑事上がりの「疲れた中年探偵」も出てきます。「わたし」は鬼貫風の足で稼ぐ探偵で、「バーテン」は星影風の超人素人探偵になるわけでして、要はそれぞれの探偵の良いところのエッセンスだけを紡ぎ出して短編にしているわけですから、面白くない筈が無いのです。そうそう、「わたし」も、ついぞ名前が明かされることがなかったのは言うまでもありません。

あらすじ

さて、「クイーンの色紙」のあらすじを紹介しますと、この「クイーン」は、英国のロックバンドではなく、米国の推理作家エラリィ・クイーン」のことで、「エラリィ・クイーン」の片割れであるフレデリック・ダネイの来日をモチーフにした作品です。

翻訳家・益子田蟇(ますこだ・がま)は、エラリィ・クイーンを始めとする著名な推理作家のサインを自宅のアトリエに飾っているほどの、自他共に認める「推理小説ファン」ですが、ある日、益子田の自宅で出版関係者のパーティーが催されることになり、そこにたまたま、おっちょこちょいな「推理作家」の「鮎川哲也」も招かれることになりました。

「クイーンの色紙」を探せ!

宴もたけなわの頃、「クイーンの色紙を一目見よう」とのことで、鮎川を含む参加者全員が益子田のアトリエに入ったところ、色紙コレクションの中で上段中央に飾られていた筈の、肝心の「クイーンの色紙」だけが無くなっていた事実が発覚。そんな中でも、自分のサイン色紙がどこに飾ってあるかが気になる鮎川は、自分のサイン色紙が、下段の隅に、はみ出た形で飾られていることを見つけます。

「エラリー・クイーンの色紙」ともなれば、近い将来「稀少的価値」となるのが目に見えているだけに、益子田は徹底的に家捜しを行い、また、パーティーの参加者にも疑いの目を向け始めます。しかし、益子田の執念も虚しく、クイーンの色紙はついに見つかることはありませんでした。

三番館のバーテン、真相を語る

パーティー参加者の一人だった、編集者の「武井」は、知り合いの大学教授に「三番館のバーテン」を紹介されます。バーテンは、武井から一通り話を聞くと、蕩々と真相を語り始めました……。

いやぁー、ちゃんと読み直した直後に感想を書くと、それなりに書けちゃうもんですね。「クイーンの色紙」、皆さんにも是非、一度読んでみてもらいたい逸品です。

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