2007年3月16日金曜日

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仮説は作られたシナリオか、ステージを彩る壮大なストーリーか

 


謎の大型連載の続き

さて、3/9 の記事では、JAL 123 便に「異変」が発生したまさにその時に、コックピットで何がなされたか、という点を見てみました。諸々の事情(そんなに大した事情でもあるまい)で、途中で終わってしまっていますので、まずは、その続きから行ってみましょう。

そもそも、急減圧はあったか?

なぜ右旋回を選択したか」「早すぎるスコーク 77」に続く謎は、「なぜ急降下を実施しなかったのか」そして「なぜクルーは酸素マスクを着用しなかったのか」という点です。この謎は、そもそも「(隔壁の大破壊による)急減圧はあったのか」という、事故調の見解そのものに対する重大な疑義に起因します。

ジャンボジェット機は、離陸してからものの十数分で 20,000 フィート(約 6,000 メートル)を優に超える高度まで上昇することができます。当然のことながら、高々度は気圧が低いため、何かしらの対策を施さないことには、乗員も乗客も酸欠になってしまいます。そのため、通常は、客室全体をある程度の気圧に保つ仕組み予圧)が用意されています。

事故機も当然、乗員・乗客が酸欠にならない程度に予圧されていました(正確な値は忘れましたが、1 気圧をちょいと下回る程度だったと思います。機内ではアルコールの酔いが回りやすいというのは、これが原因ですね)。とはいえ、20,000 フィートの高々度にあっては、機内の予圧は外気圧より相当高いわけです。この状態で、客室の気密が保たれなくなったとしたらどうなるか。客室から空気が噴出し、客室内の気圧はいずれ外気圧に近づいてしまう筈、です。

減圧時の基本

外気圧に近づくということは、機内の酸素が急激に失われ、酸欠に近い状態になることを意味します。そのため、機内の予圧が破られた場合に取るべき行動は、何よりも酸素を確保すること、となります。方法は二つ。機体を急降下させて、外気圧そのものを高くする方法、そしてもう一つは、酸素マスクの着用です。

ところが、123 便のクルーは、そのどちらも実施した形跡がありません

クルーのミスか、仮説のミスか

急降下を試みなかった」「酸素マスクを着用しなかった」という、「急減圧があった」という想定からは矛盾するクルーの行動をどう評価するか。「急減圧があった」ことを事実として認定する事故調の見解を是とする向きからは、「クルーは突如起こった事態に混乱を来し減圧への対処を怠った'」という、厳しい見方が出てきます。

一方、事故調の見解を真っ向から否定して、「そもそも急減圧はなかった」と考える人もいます。「プロのパイロットが、減圧への対処を怠るとは考えられない」との性善説に立脚する見方とも言えますが、少なからぬ傍証がある、との主張もあります。

加藤氏は、どう見たか

さて、この謎の連載のネタ元となっている、加藤寛一郎博士の「壊れた尾翼」でも、当然ながら、急減圧の有無は重要なファクターとして捉えられていました。氏の見方は「減圧はあった」というものですが、「ジャンボの機体が大きすぎたために、結果として減圧のインパクトは相殺された」との推論に達しています。

急減圧はなかった」説の論者として名高い、藤田日出男氏の著作も、一応手に入れました。残念ながら、まだ着手できていませんが……。読後はおそらく、今回の記事にフォローアップを入れることになると思います。

私は、どう見るか

正直、減圧の有無については、加藤説もそれなりに評価できるような気がしますが、私自身、少々もやもやっとした感覚が取れません。やはり、藤田氏の著作にも目を通しておくべきだったのでしょうか……。

今日もちと眠くなりましたので、とりあえずこの辺で。さて、次回からは、「事故調査について」という見地から、だらだらと愚見を書いていこうと思いますです……。

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