2008年2月20日水曜日

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ポピュリズムに潜む危険性と可能性

 


ペドロ・チャベスとは別人です

ウゴ・チャベスという人物については、いろいろと考えさせられることがあります(何をいきなり)。はい、ベネズエラ大統領の Hugo Rafael Chávez Frías のことです。

ちょいと前に、スペイン国王に「黙れ!」と一喝されたことで名を上げた(ぇ)チャベスですが、なかなかどうして、その程度のエピソードに留まる人間では無さそうです。(キューバの)フィデル・カストロへの敬意を公にして憚らないチャベスの政治思想が「社会主義的」なのは当然の帰結として、その激越な「反米」姿勢を「ブロック経済的なもの」にまで昇華させた政治手腕は、どう評したものでしょうか。

巻き尺が牛耳っていたわけではありません

ベネズエラは、世界でも有数の産油国ですが、エネルギー資源はアメリカなどのメジャーに牛耳られていたため、国民の生活レベルは、例えばアラブ首長国連邦などと比べると決して高くはありません。チャベスはこれを「先進国による搾取の結果」であるとして、強権的に企業の国営化などを進めようとしている、とされます。国営化によってもたらされる利益は、社会福祉という形で国民に還元する、というモデルです。

当然ながら、チャベスは低所得層から圧倒的な支持を得ることになります。このことを以て、チャベスを「ポピュリスト」とする見方も存在します。「ポピュリスト」の定義として、「大衆からの圧倒的な支持を基盤として、強権的な政策を遂行する」と位置づけることも可能かと思いますが、この観点では、かの小泉純一郎も立派なポピュリストだったと言えます。

チャベスの香西、じゃなくて功罪

えーと、チャベスの話ですね。チャベスが大統領に権限を集中させたり、なぜか三選を果たしたりしているのも事実で、これを以てチャベスを「独裁者」呼ばわりしたり、「民主的な指導者でない」と断罪することも、決して間違いではないでしょう。

ただ、だからといって、チャベスが即刻退陣すべきかと言われると、それも違うかな、と思うのですね。確かに、「反米」を基本に据えるチャベスの政治姿勢には危なっかしいところも多いと思いますが、豊富なエネルギー資源を「外交カード」として使って中国やインドに接近したり、南米の左派政権をまとめ上げたりする手腕は、やはり高く評価されて然るべきだと思うのです。

一種の「リフォーム詐欺」とも

チャベスを評して「フィデル(カストロ)の真似をしているだけ」とする見方もあります。それも確かに真実でしょう。ただ、ベネズエラは共産主義国家では無いのも事実です。市場経済+社会主義、と見るのが正しいでしょう。

アメリカという国は、昔から「自由の押し売り」が得意な国で、最近では押し売りに飽きたらず、ノックアウト強盗のような姿勢すら散見されるわけですが、果たしてアメリカが大好きな「自由」って何なんだろうか、と、今更ながら考えてしまいます。「自由主義」「資本主義」「市場経済」のメッカとしての「アメリカ合衆国」は、旧ソ連を中心とする「東側諸国」との冷戦を勝ち抜くためのドグマとして、ドーピングを続けて無駄に筋肉ばかりついてしまった印象があります。「異形の怪物」とでも言いましょうかね。

ポピュリズムに潜む危険性と可能性

そんな中、「市場経済+社会主義」という、ある意味では「いいトコ取り」の体勢を構築しつつ、「アメリカ合衆国抜きの世界」を着実に形成しつつあるウゴ・チャベスという人物には、底知れぬ危険性を秘めつつも、底知れぬ可能性も見えるようで、とても興味深いです。

「市場経済+社会主義」といえば、戦後の日本も、かつてそう言われていた時期がありました。諸外国に「市場開放」を迫られた結果、今では跡形もありませんが……。そういえば、戦後の日本にも、吉田茂田中角栄のような政治家がいましたね。両者を並べることには異論も多かろうと思いますが、どちらも「強力」な政治家だったと言えるでしょう。

それを思うと、小泉なるお人は、あれだけ一般大衆受けが良かったにも拘わらず、郵便局を解体しただけで満足しちゃったわけですから……。何とも器が小さいというか、もったいないことをしたものですね。

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