2008年8月12日火曜日

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迷走する機体、そして迷走する現場

 


本稿、昨年の 8/13 以来、約 365 日ぶりの更新となります(すいません)。

迷走する機体、そして迷走する現場

JAL 123 便が群馬県の山中に墜落してから、まる 23 年が経ちます。JAL 123 便は、垂直尾翼の大部分を失い、また、何らかの理由で油圧系統が全滅したため、操縦桿の操作による機体制御が事実上不可能に近い緊急事態となり、その約 30 分後、群馬県は上野村の山中(「御巣鷹山」とされているのは、厳密には誤り)に墜落したのでした。

さて、事故機は約 30 分に亘って迷走を続けるという、航空関係者には極めて衝撃的な事態となったわけですが、その後、墜落現場の特定が、事故機の航路以上に迷走を重ねたことについては、当然ながら、とても褒められたものではありません。

この事故について「陰謀説」を採る人たちの中には、「意図的に事故現場の情報を攪乱した」と考える人もいるそうで。何でも、「下手に民間人に近づかれてしまうと、隠蔽工作ができなくなる」からだとか。あるいは、わざと救助隊の到着を遅らせることで、生存者の収容を難しくしようとしたのだとか……。後者については、結果的にはそうなってしまったわけなので、反論の余地は無いのですが、考えるのもおぞましい説です。

生存者の証言からは、墜落直後には多数の生存者がいたとされます。速やかに救助が行われていれば、もっとたくさんの生存者を救出できたと言われています。

事故現場を動かした「罪無き誤り」

では、墜落現場の位置が二転三転した理由について、また、結果的に救助隊の到着が翌朝になった理由について、少し考察してみましょう。

まず、「現場」が、4 県(群馬、長野、埼玉、山梨)の県境に近い山中であったこと。事故機は事実上制御不能状態だったため、このことは誰も責められないのですが、県境付近の山中で事故機が消息を絶ったとして、事故現場が自県内だと断定することは、極めて難しい筈です。また、2 県の県境であれば、電話などで連携して事に当たることは可能だったでしょうが、あろうことか、4 県の境界域とあっては、当事者間の連絡すら困難だったであろうことは、想像に難くありません。もちろん、お役所の悪しき慣習である「縦割り」意識や「縄張り」意識が、柔軟な意思決定の妨げになったことも、おそらくあったことでしょう。

そもそも、埼玉県と長野県が県境を接しているということ自体、知らない人のほうが多い筈です(「三国峠」という、林道の峠が両県を結んでいますが)。警察関係者や自衛隊は、それなりに正確な知識を有していたでしょうが、少なからずいたとされる「目撃者」が、これらの位置関係を正確に認識していなかった可能性も十分に考えられ、結果として目撃情報をとりまとめる側の警察やマスコミが、目撃者の「思い込み」「勘違い」に振り回されたということも、おそらくあったことと思われます。

一つ言っておくべきことは、「情報の錯綜に悪意は介在していない可能性が高い」ということです。結果として、流言飛語の類に限りなく近い情報を、そのまま取り上げてしまった警察やマスコミには、反省すべき点は多々あったと思われますが、意図的なミスリーディングや情報隠蔽は無かった、と(個人的には)見ています。

放射能アレルギーの産物「アイソトープ問題」

次に、「アイソトープ問題」についても触れておくべきでしょう。この問題についても、陰謀説と組み合わせて考える向きもあるのですが、それはさておき……。

どのタイミングで話が出たのかは定かではないのですが(調べれば判ることですが)、事故機の貨物に「医療用アイソトープ」が搭載されているので、事故機に近づくと被爆する虞がある、という話が出てきました。結果的には、このアイソトープは極めて微量のもので、人体には殆ど影響がない、という話に落ち着いたのですが、この、某新聞社的な発想には嫌悪感を覚えます。

この「アイソトープ問題」が、実際に救助隊の派遣にどの程度の影響を及ぼしたかは(私には)わからないのですが、何ともくだらない話……だと(個人的には)思います。たかだかアイソトープの一つや二つ(矮小化しすぎかもしれませんが)を怖がって、被害者の救助に迎えないのであれば、原発が放射能漏れを起こした時にも、誰も助けに来てくれない可能性があるわけで……。警察だか自衛隊だかわかりませんが、災害救助の任にあたるべき人たちが、そんな程度で及び腰になっていては、やっていけないと思うのですね。

某新聞社的、あるいは某政党的な発想には、呆れかえるだけでは足りないように思えてしまいます。

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