2009年3月15日日曜日

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オレのものはオレのもの、オマエのものは「はい空爆!」

 


中東だからね

1981 年 6 月 7 日に、イスラエル空軍機がイラクの原子炉を空爆したことは有名な事実です……が、あまりにさらっと書いてしまうと、この「事件」の異常性が全く見えてきません。「ま、中東なんだし何でもありなんじゃ?」という達観した見方もまた真なのですが、それだと全てがそれで片付いてしまうので……。

どの辺が「異常」かと言うと、まず、1981 年の時点ではイスラエルとイラクは戦闘状態にはありませんでした。イラクとイスラエルはかつて中東戦争で対峙した関係ではありますが、第四次中東戦争(この戦争にはイラクは直接関わっていない)が停戦したのも 1973 年ですから、もう 8 年近くも前の話です。

中東だからね……っていいのかオイ

そんな、少なくとも戦闘状態にない国家の原子炉に対して空爆を実行したのは、イスラエル側の見解としては、イラクがこの原子炉(通称「オシラク原子炉」)を軍事目的に転用しようとしている、との危機感を持ったからとされています。確かに、オシラク原子炉は濃縮ウランを生産することが可能だったとされますので、イスラエル側の懸念を「杞憂だ」と一笑することは難しかったのかもしれません。

でも、この理屈だと、某北の国が日本の原発を空爆してもいいことになっちゃうわけで……。こんなことが許されてしまうのは「中東だからね」の一言で片付いてしまうのかもしれません。

サダム・フセインのポロリ疑惑

少し Wikipedia さんのご意見も伺ってみましょう。

イラクの核開発

産油国でありエネルギー資源に不安があるはずもないイラクが核開発を行った理由として、イラクは将来の石油資源枯渇を見据えて開発したものとしていた。しかし、実際にはイラクのフセイン政権は核武装を狙っているという疑いがあった。イラクは 1970 年代から核技術の研究を独自に行なっていたが、原子炉を建設するほどの工業力がなかったため、フランスから核燃料と技術者の提供を受け 7 万キロワットの原子力発電所を建設していた。

この原子炉(オシリス級原子炉、フランスはオシリスとイラクを合成した「オシラク」の名で呼び、イラクはバアス党が政権を奪取した月の名である「タムーズ 1」と呼んだ)は 1982 年 7 月に稼動予定であったが、この原子炉を軍事転用して核兵器に必要となる濃縮ウランを生産することも可能であった。そのためイスラエルはイラクが核開発することに異常なまでの危機感を持っていた。
(Wikipedia 日本語版「イラク原子炉爆撃事件」より引用)

まぁ、そんな感じで、確かに世界第二の産油国が核開発に精を出すのは、情況証拠としてもおかしかったのも事実ですし、一説にはサダム・フセイン自ら、原子炉の建設を「核保有への第一歩だ」と明言したとされます。仮にフセインの言葉が事実だったとすると、フセインってばなんて間抜けな……(←

在庫限り超特価

イスラエルは「オシラク原子炉」の存在に凄まじい危機感を持っていたようで、「第二のホロコーストの危機だ」とすら感じていたのだとか。合法・非合法を問わず様々な妨害工作を行ったものの、結局原子炉の建設をストップさせることができず、やむなく(?)実力行使の挙に出ます。

イスラエルからバグダッド郊外のオシラク原子炉までは約 1,000 km 弱、往復で約 2,000 km ということで、当時のイスラエル軍の主力だった F-15 戦闘機では燃料がギリギリ持つか持たないか、だったと言います(当時は空中給油機は未配備だったとか)。

ところが、アメリカがイランのパーレビ王朝向けに用意していた F-16 75 機が、ホメイニ師によるイスラム革命のあおりを受けて不良在庫になっていて、アメリカがイスラエルに売却を打診してきたことで、一気にバグダッド空爆が現実味を増してきます。

オレのものはオレのもの、オマエのものは「はい空爆!」

イスラエル空軍は、原子炉空爆のために選りすぐりのパイロットをアメリカに派遣し、F-16 を操縦するための訓練を受けさせます。程なく F-16 がイスラエルに引き渡され、先例のない「自衛のための先制攻撃」が実施されます。

当然ながら、イスラエルは国際社会から激しく非難されましたが、アメリカからの制裁措置はお座なりなものだったと言います。まぁ、今に始まった話ではありませんが、かの国の御都合主義には開いた口がふさがりません。

更に言うと、イスラエルはイラクが原子炉を建設するずーっと前から核武装していた可能性が高いわけで……。「ウチは自衛のために核を持つけど、あんたはダメね」と言って「はい空爆!」というのも……。やっぱ、どこか性根が腐っているような気がしてなりません。

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