2010年6月14日月曜日

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「ドイツ人のバカ笑い ──ジョークでたどる現代史」

 


「ドイツ人のバカ笑い」

ある晩、気分転換にと思って「ドイツ人のバカ笑い ──ジョークでたどる現代史」という新書(ISBN4-08-720247-X)を一気に読了したのですが……。


んー、やはりドイツって笑いのセンスがイマイチ……と思わせる内容でした。いや、厳選された名作揃いなんだと思いますが、こちとらなにしろ、名越健郎さんの超名作「独裁者たちへ!!」を読んでしまっているので、ちょっとやそっとのネタには免疫ができてしまっているらしく……(←

独裁者たちへ!!──ひと口レジスタンス 459」は、また Amazon.co.jp でプレミアがついた状態になっていますね。りっぱな 20 世紀の文化遺産なのですから、文庫化を切に望みます(←

ドイツ代表の快勝を記念して(←

ま、そんなわけで、アネクドートはロシアに限る(だって「анекдо́т」はロシア語だし)と思っているわたくしですが、「ドイツ人のバカ笑い」から厳選したネタをいくつかご紹介しましょう。

ワールドカップで有名になった選手が展覧会を見に行った。出てきたらリポーターに意見を求められた。「トゥールーズ=ロートレックをどう思います?」
「そうさね」、彼が答えた、「二対一でトゥールーズの勝ちだろう」
(D・トーマほか 編「ドイツ人のバカ笑い」集英社 p.33 より)

ちなみに Toulouse Football Club はフランスのリーグ・アンのクラブです。

同じ選手が、こんどは文学のつどいに招待された。あとでリポーターが尋ねることに、「ライナー・マリーア・リルケをどう思います?」
「そうさね」、彼が答えた、「三人とも絶好調じゃないの!」
(D・トーマほか 編「ドイツ人のバカ笑い」集英社 p.33 より)

ネタのリサイクル、というヤツでしょうか(笑)。

何事にも反体制派

少しだけ政治に寄ったネタも。

反権威主義の夫婦が戸籍役場で新生児の届出をしようとした。
「男の子さんですが、女の子さんですか」と係員が尋ねた。
父親が答えて言うには、「そんなこと、いずれ本人が決めたらいいじゃないですか」
(D・トーマほか 編「ドイツ人のバカ笑い」集英社 p.87 より)

既存の権威を良しとしない考え方も、ここまで来ると立派なものです(笑)。

アネクドートの神髄ここにあり

やっぱり最後はアネクドートで……。ドイツのアネクドート(政治風刺小話)ではヴァルター・ウルプリヒトと人気を二分する(←)エーリッヒ・ホーネッカーさんに締めてもらいましょう(笑)。

エーリヒ・ホーネッカーがバルト海の浜辺に寝そべっていると、空を朱に染めて日が昇った。
「おはよう、太陽さん」とエーリヒが呼びかけた。
「おはよう、中央委員会書記長さん」と太陽が答えた。「きょう一日、せいぜい保養になりますように、中央委員会書記長さん!」
「これはこれはご親切に、太陽さん、保養になるよう願ってくださるとは」
「どういたしまして、心から尊敬する中央委員会書記長さん」
夕方、日が沈むとき、エーリヒは目で追って呼びかけた。「どうもありがとう、太陽さん、おかげで快適な一日を過ごせました!」
「やれやれ」、太陽が答えた、「ほっといてくれないかね、あたしゃ、いま西側に来てるんだよ!」
(D・トーマほか 編「ドイツ人のバカ笑い」集英社 p.90-91 より)

えー、このようにひとつのネタが長いのがドイツ流のようなのですが(だって地名とかもむちゃくちゃ長いですからね、Garmisch-Partenkirchen とか)、これはですね……。「太陽ですら西側での時間を満喫している」ということなのでしょうが、あるいは「ホーネッカーがバカンスに出かけている間に甘言を弄して西に脱出しちゃえ」というたくらみの話、とも取れるのかも知れません。いずれにせよ、うまくできている、とは思います。バカ笑いできるかどうかは微妙かも知れませんが(笑)。

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