2010年6月21日月曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (1) 「千歳・由仁・早来」

 


というわけで、「北海道の旅 2010/春 Day 2」の途中ですが、ここまでに出てきたアイヌ語地名のおさらいなどを……。



千歳(ちとせ)

「アイヌ語地名のおさらい」などと書いてしまいながら、いきなり和名から入るというのもアレなのですが、この「千歳」は、有名な「瑞祥地名」です。「千歳川」の旧名は「シコッ」で、意味は「大きな沢」なのだとか。「シコツ」は「死骨」に通じるということで忌み嫌われたらしく、何とも目出度い「千歳」という名前に変えられたのだそうです。

察しの良い方はお気づきでしょうが、「千歳川」の水源が「支笏湖」です。川の名前としては葬り去られたにも拘わらず、湖の名前としては残されたあたりに、多少の良心を感じるところです。

由仁(ゆに)

永田方正氏の「北海道蝦夷語地名解」によると、yu-un-i で「温泉・ある・処」なのだとか。山田秀三さんが調査したところでは、確かに町内の数カ所で湯が湧いていたとのことで、整合性は取れています。

ただ、別説として、i-un-i「それの・いる・所」という解釈もあるようです。i(それ)というのは口に出すのもはばかられる物を対象に使われる言葉で、「熊」や「蛇」を「それ」呼ばわりするのだそうです。この場合は「蛇」ではないかと考えられます。

ヤリキレナイ川

5/10 の記事「半身不随でヤリキレナイ川!」にて、i-arkeray-nai(ヤルケレナイ)説を考えてみたのですが、「その半身が不随の川」と訳すのは、改めて考えてみると文法的におかしい気もします……。

早来(はやきた)

私のように、アイヌ語地名をほんの少しだけ囓った人間なら「ああ、元は『サㇰルー』だったんだな」と独り合点してしまう地名です。sak-ru は道内あちこちに点在している地名で、多くは「サックル」(「咲来」など)という音で今に残っています。「夏・道」という意味です。

ちなみに、「冬・道」は mata-ru となります。「道には夏も冬も無いではないか」とつい考えてしまうのですが、これは冬になると雪で閉ざされるから……という話だけでは無く(!)、冬になると川が氷結したり、谷が雪で埋まったりするために、逆に、冬だけ近道ができるようなケースもあったようです。「冬場は使える道」が「マタ・ルー」になったのだ、と考えられます。

「早来」の話に戻しますが、一般的には、sak-ru ではなく sak-rupespe 説が採られているようです(意味は「夏・越える沢道」)。ただ、早来の周辺には「ルペㇱペ」と呼ぶべき「峠道」が見当たらない気がするので、少々個人的には理解に苦しんでいます。普通に sak-ru でいいような気がするのですが……。

なお、全くの別解として、「室蘭本線が思ったよりも早く開通したから『早来』(はやきた)」という説もあるそうです。ネタとしては面白いのですが、果たして(日本語として)ここまで不自然な組み合わせで瑞祥地名を考えるかと言うと、ちょっとどーかなー、と思ってしまいます。

ただ、国鉄白糠線(1983 年廃止)の終着駅は「二股」集落に設けられましたが、さらに延伸する願いを込めて「北進」という駅名にされたこともありました。少なくとも「瑞祥駅名」はアリだ、という実例ですね。

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