2010年9月8日水曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (6) 「大樹・忠類・中札内」

 


「2010/春」のゴールが見えてきたから……というわけだったり無かったりするのですが(だったりするのか)、本来は記事を追っかけてくる筈でありながら、大幅に遅れているこちらのネタを続けます(前振り長すぎ)。


大樹(たいき)

広尾の北隣の街で、西から東に歴舟(れきふね)川が流れています。まるで日立グループのテレビ CM を思わせるような佳字地名ですが、さて、どんな意味なんでしょうか?(わくわく)

 たいき 大樹 <大樹町・忠類村>
古くは大喜とも書いた。十勝地方南部,歴舟(れきふね)川・生花苗(おいかまない)川流域。南東は太平洋に面する。
(「角川日本地名大辞典」編纂委員会・編「角川日本地名大辞典 1 北海道(上巻)」角川書店 p.808 より引用)

「音調津」(おしらべつ)も字面が素敵ですが、「生花苗」(おいかまない)というのも素敵な字面です。生きた花の苗、ですからね。

続けましょう。

地名は,アイヌ語のタイキウシ(森林がそこにたくさんあるところの意)に由来する(大樹町史)。
(「角川日本地名大辞典」編纂委員会・編「角川日本地名大辞典(上)」角川書店 p.808 より引用)

ふむふむ。-usi は「──ある処」という意味でしょうから、「タイキウシ」だと「タイキのある処」という意味になります。果たして「タイキ」=「森林」なのでしょうか?

少し調べてみたところ、tay で「森」という意味になるようなのですが、ki の意味がわかりかねます。日本地名大辞典をもう少し見てみましょうか。

なお,タイキウシ(蚤の多いところの意)による説もある(北海道蝦夷語地名解)。
(「角川日本地名大辞典」編纂委員会・編「角川日本地名大辞典(上)」角川書店 p.808 より引用)

かの永田方正氏の「地名解」では、あっさりと「『蚤多キ處』大樹村」と書かれてしまっています(笑)。確かに ki には「ノミ」という意味もあるみたいです。そして tay には「林」という意味の他にも、「林立」という意味もあるようで、すなわち tay-ki は「ノミの・大群」という意味にも取れるのかも?

まぁ、町史に「わが町の名の由来は『ノミの大群』で……」と書くのはさすがに忍びなかったということでしょうか。気持ちは理解してあげたいところですが……(← すっかり「ノミの大群」説が正しいと決めつけている

忠類(ちゅうるい)

私のような元・科学っ子(←)であれば、誰でもその名を知る忠類村。日本で初めてナウマン象の化石が出土したことで有名でした。残念ながら(←)ナウマン象は爬虫類ではなく哺乳類でしたが……。

山田秀三さんの解では、「忠類」は chiu-rui-topui の下略された形だとか。意味は「流れ・激しい・当縁川(の支流)」ではないかとのこと。

ちなみに、「忠類」という地名は標津管内にもあります。「忠類」が二つある上に「標津」と「士別」は同音ということもあって、なにかと紛らわしいです(だからどうした)。

中札内(なかさつない)

山田秀三さんが、その著書「北海道の地名」(草風館)で記したところでは、「札内川筋の中流にあるのでこの名で呼ばれた処」と。ええ、確かにそのまんまですね(←

ポイントは「札内」でして、この「サツナイ」が転じて「幸福」になったのだと言うのですが……長くなりそうなのでまた次回にでも。

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