2010年11月5日金曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (22) 「羽幌・苫前・力昼・鬼鹿」

 


こうなりゃ目指すは「放浪記」超えです(意味不明)。


羽幌(はぼろ)

メジャーな地名に限って意味が詳らかでない、というのがアイヌ語地名の特徴?でもあるのですが、この「羽幌」もどうやらその傾向があるようです。

北海道駅名の起源は hap-oro-o-pet(ハプ・オロ・オ・ペッ)で「ウバユリの鱗茎(球根)・そこ・に多くある・川」としました。一方、時代を遡って明治時代の著作となる「北海道蝦夷語地名解」では ha-poro-pet(ハ・ポロ・ペッ)で「流出・広大の・川」としました。「─地名解」には次のような脚注もあります。

此ハ直譯ナリ此川幅三十間、水出ル時ハ河尻ノ沙ヲ潰決シテ大イニ流出ス故ニ名ク 一説ニ「ハポロ」は「ハプル」ニテ柔カナル義此地沙柔ナル故ニ名ク
(永田方正「北海道蝦夷語地名解」国書刊行会 p.404 より引用)

「一説に『ハポロ』は『ハプル』にて──」とあるのですが、永田方正(「北海道蝦夷語地名解」の著者)よりも前の時代の上原熊次郎は、この hapur-pet 説を採用していたようです。意味は「柔らかい・川」。

山田秀三さんも「ウバユリ」説や「流出」説にはしっくりと来なかったようで、「土地の古い伝承だったハプㇽ(柔らかい)の説をもう一度考えなおしたい」と記していました。

苫前(とままえ)

toma-oma-i(トマ・オマ・イ)で「エンゴサク・ある・処」だそうです。「エンゴサク」は漢字で書くと「延胡索」で、ケシ科の植物で生薬の一種なのだそうです。鎮痛作用があり、某社の漢方胃腸薬にも配合されているのだとか。

つまり、延胡索の実に切り込みを入れてそこから分泌される液体を煮出して精製したものをごにょごにょ……(以下自粛)

ちなみに、松浦武四郎は「西蝦夷日誌」にて、苫前の本名は enrum-oma-moi である、と記しているようです(山田秀三さんの「北海道の地名」より孫引き)。意味は「岬に・ある・入江」ということだとか。道路地図ではわかりづらいのですが、苫前は確かに「岬」の地形です。


これは羽幌から苫前を望む写真です。奥の方に見える岬が「苫前」です。

力昼(りきびる)

重箱読み(音読み+訓読み)全開の地名ですが、ri-kipir で「高い・崖」という意味です。ああっ、すっきりはっきりっ!(←

鬼鹿(おにしか)

「力昼」ばりのすっきり展開を期待したいところでしたが、残念ながらそれは叶わない雰囲気が漂ってきました。さて、この「鬼鹿」ですが、北海道駅名の起源(昭和 48 年版)は o-ni-usi-ka-pet(オ・ニ・ウシ・カ・ペッ)で「森林の中の川」としています。逐語訳では「川尻に・木が・群生している・上の・川」ともできそうです。o を「そこにある」と解するか「川尻」と解するかで少し訳が変わってきそうです。

以前にご紹介しましたが、宗谷郡猿払村に「鬼志別」というところがありました。「鬼志別」の意味ですが、o-ni-usi-pet で「川尻に・木が・群生している・川」である可能性があります。

一方、異説としては上原熊次郎説があり、o-nis-ka で「そこにある・雲・の上」だとします。この説は山田秀三さんも「説話的で(ある)」としていますが、全く同感です。

ただ、では o-ni-usi-ka-pet が正解かと言われると、ちょっと ka (「」)が気になってしまいます。で、大胆なことにも新説?を思いついてしまったんですが、o-nisey-ka で「そこにある・断崖・の上」という可能性は無いでしょうか!?

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