2011年1月8日土曜日

次の投稿 › ‹  前の投稿

アイヌ語地名の傾向と対策 (30) 「美笛峠・多峰古峰山」

 


さぁ、今年も懲りずに行ってみましょう!


美笛峠(びふえとうげ)

明治時代の小役人(コラ)、永田方正氏の「北海道蝦夷語地名解」には「Pi pui ピ プイ」とあり、これが「びふえ」の語源だったと考えられます。ただ、永田氏は「水無シ澤ノ涎胡索(エンコソ)」「『プイ』草ハ土人其根ヲ食料トス」との解釈を残しているのですが、これはかなり好意的に見てもダイナミックな意訳のように思えます。

pi は、とりあえず「小石」と解釈できます。「小石」→「小石ばかりの川」→「水のない川」とダイナミックに読み解けば、永田氏の解釈も頷け……ますか?(誰に聞いている)。puy は「穴」だったり「小さな山」だったりするのですが、他にも「エゾノリュウキンカの根」という意味もあるそうです(知里真志保「地名アイヌ語小辞典」p.104 による)。

「エゾノリュウキンカ」と「エンゴサク」

エゾノリュウキンカ(蝦夷立金花)は「キンポウゲ科の多年草」で、エンゴサク(延胡索)は「ケマンソウ科の植物」なのだそうです。見た目は……ちょっと違うように思えますが、食用になる「エゾノリュウキンカ」と、薬用になる「エンゴサク」、どちらも実用的な植物であったとは言えそうです。

……まぁ、こうやって書いてみると「水無シ澤ノ涎胡索」というのは「間違いだらけ」と言われても仕方がなさそうですけどね。

多峰古峰山(たっぷこっぷやま)

たっぷこっぷ」と読めた時点で勝った(何に?)も同然な地名です。tapkop(タㇷ゚コㇷ゚)は「小さな山」といった意味で、謂わば「大地のタンコブ」のようなものです。ひそかに「タンコブ」は「タㇷ゚コㇷ゚」に由来するのではないかと邪推していたりもするのですが……。

今回は、知里先生の解釈をまるまる引用させていただきましょう。

tapkop, -i たㇷ゚コㇷ゚ ①離れてぽつんと立っている円山;孤山;孤峰;②尾根の先にたんこぶのように高まっている所。── tapkop は土山で,nupuri は岩山だと云う人もある(サマニ)。[<tap-ka-o-p(肩・の上・にある・もの)?]
(知里真志保「地名アイヌ語小辞典」北海道出版企画センター p.128 より引用)

知里先生も、やはり「たんこぶ」との類似性を気に留めていたのでしょうか。

なんでこんなに平べったい?

ちなみに、このあたりの地形はとても変です。いつもの Yahoo! 地図より Google Map のほうがわかりやすいので、キャプチャしたものをお見せしますと……。


tapkop の解釈はまさに上記の②にあたるのですが、それよりも山容がおそろしく平べったいことにお気づきかと思います。かなり粘度の低い溶岩によって谷が埋められたのかな、と思ったりもするのですが、いかがでしょう?

前の記事次の記事

www.bojan.net
Copyright © 1995- Bojan International

0 件のコメント:

最近の記事