2011年2月26日土曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (36) 「東鹿越・幾寅・西達布・富良野」

 


本日も、超マイナーな地名から超メジャー級のネタも交えつつお送りします。



東鹿越(ひがししかごえ)

ただ今、Chicago の "Hard To Say I'm Sorry" を聞きながら書いているところなのですが……。だって「しかごえ」だし(←)。ここの由来は……大人の事情で後回しです。♪ビニ本手に持って去る!(2:14 あたり)(←

幾寅(いくとら)

「南富良野町」の中心地で、金山ダムの上流部にあたるところです。JR 根室本線の「幾寅駅」があります。「幾寅」の街のすぐ脇を流れる「ユクトラシュベツ川」がその由来のようです。yuk-turasi-pet で「鹿・それに沿って登る・川」といった意味になります。

……つまり、「幾寅」は「ユㇰトゥラシペッ」の音をそのまま用いたもので、「鹿越」は「ユㇰトゥラシペッ」を意訳したもの、と考えられます。「鹿越」が「幾寅」の西側にある、というのはちょっと変な話ですが、まぁ、細かいことは気にしないでおきます(←

もともと、「東鹿越駅」のさらに西側に「鹿越駅」があったのが、金山ダム建設で水没したみたいです。

西達布(にしたっぷ)

幾寅から樹海峠を越えて、富良野市に入ったあたりで、東大演習林があるところなのですが……。ちなみに「西達布」はあっても「東達布」は無いようです。従って、「にしたっぷ」で何らかの意味がありそうです。

「これは楽勝だろう」と思って選んでみた(←)のですが、それが意外と難解でして……。山田秀三さんも次のように書いていました。

 富良野市南の川名,地名。西達布川は空知川の東支流で長い川である。永田地名解は「ニ・シタㇷ゚ ni-shitap。樹木・収縮する処」と書いたが,何か分からない名である。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.71 より引用)

shitap にそんな意味あったっけ? と思って、わかる範囲でいろいろと調べてみたのですが、結局意味を突き止められず。もしかしたら、これも「幽霊アイヌ語」かも知れません……。

「にしたっぷ」という地名は苫小牧にもあったそうで(今は「錦岡」に改名したとか)、山田さんは、その「錦多峰」の解として ni-usi-tap で「木・多くある・山」という考え方も有りではないか、とされていました。富良野の「西達布」も林業が盛んだったところのようなので、ni-usi-tap が正解かもしれませんね。

富良野(ふらの)

富良野と言えば、かつてアルペンスキーのワールドカップも行われた、国内でも有数の知名度を誇るリゾート地です。ラベンダー畑も近く、富良野から美瑛にかけてのなだらかな丘陵地は、その風景自体が絵になるような美しさを持つことでも知られています。

……当 Blog の傾向を多少なりともご存じの方は、この前フリで「来たな!」と思われたかも知れません。そうです。来てます(←

富良野の語源ですが、hura-nu-i で「臭い・持つ・ところ」、あるいは「臭い・ところ」という意味のようです。山田秀三さんは次のように紹介しています。

 この名は富良野川がもとであった。松浦氏十勝日誌は上川盆地から越えて来て「フウラヌイ。小川。此源ピエの硫黄山(現称十勝岳)より落る故に臭気鼻をつき,一掬を試みんとなすや土人等毒ありとて制す」と書いた。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.69 より引用)

「一掬」は「ひとすくい」ですが、もしかしたら希硫酸に近い状態だったのかも知れませんね。それにしても、国内でも有数の知名度を誇るリゾート地の名前が、実は「臭いところ」だったというのは何とも……(笑)。世の中、知らない方がいいこともあるってことでしょうね(←

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