2013年7月6日土曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (121) 「空知太・士寸・恵比島」

 


やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである)

空知太(そらちぶと)

砂川市の北部、滝川バイパスと旧・12 号線が分岐するあたりの地名です。ここで富良野から流れて来た空知川が石狩川と合流するのですが……。はい、実はそのまんまの地名です。sorapchi-putu で「空知川・口」という意味ですね。

川は水源から海に向かって落ちていくもの……と考えると、「口」という表現はおかしいのですが、知里さんも力説していた通り、アイヌの世界観では川は「河口から遡るもの」なので、「ここから空知川」= sorapchi-putu となるわけです。

ちなみに、「空知川」の語源は so-rap-chi-pet で、「滝・落ちる・群れをなして・川」即ち「滝が群れをなして落ちる川」となります。

士寸(しすん)

新十津川町の地名で、志寸川を上流に遡っていったところにあります。川は「志寸」で、地名は「士寸」ですが、おそらくどちらも由来は同じでしょう。

では、今回は更科源蔵さんの「アイヌ語地名解」から。

 石狩川の小支流シスン川筋、シスンはアイヌ語のスュスュ・ウンで柳のある意か。
(更科源蔵「更科源蔵アイヌ関係著作集〈6〉アイヌ語地名解」みやま書房 p.115 より引用)

ふむふむ。susu-un(-nay) で「柳・ある(・川)」と見るべきでしょうね。続きもあります。

鷲峻山という山もある。
(更科源蔵「更科源蔵アイヌ関係著作集〈6〉アイヌ語地名解」みやま書房 p.115 より引用)

これ、読めないですが、実はこれで「しすんやま」と読むのだそうです(汗)。山も川も集落もあるのに、全部当てられている字が違うというのも妙な話です。

恵比島(えびしま)

沼田町の地名で、JR 留萌本線の「恵比島駅」があります。この駅の駅舎は、NHK の連続ドラマにおいて「明日萌駅」という名前で使われたらしいのですが、今では駅の近くに「明日萌橋」という橋ができてしまったらしく、個人的にはとってもガッカリしています……。

「作りもの」のアイヌ語 *風* 地名が公に残されるのは、さすがにちょっと……

ちなみに、恵比島駅の近くを流れている川の名前は「恵比寿川」という名前です。それでは、山田秀三さんの「北海道の地名」を見てみましょう。

幌新太刀別川の西側の小支流エビス川がそこを流れている。たぶんそれがアイヌ時代のエピショマㇷ゚「e-pish-oma-p 頭(水源)が・浜(の方)に・入っている・もの(川)」だったのであろう。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.80 より引用)

なるほど、e-pis-oma-p で「頭・浜・入る・もの」ですか。これだと horka-nay(後戻りする・川)と何が違うのだろう……と思ったりもするのですが、

諸地の支川にこのエピショマがついているのは,その水源から向こうに越えて海辺に行ける川の名で,アイヌ時代の交通路になっていたらしい処が多い。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.80 より引用)

ああ! さすがは実用性重視のアイヌ語地名です。海の方向に向かっている沢は、確かに絶好の峠道になりますからね。

(この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである)

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