2013年7月21日日曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (126) 「ウツナイ川・蕗ノ台・母子里」

 


やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである)

ウツナイ川

朱鞠内湖はダムでつくられた人造湖……ということをご存じの方は多いと思いますが、実はダムが複数あって、朱鞠内湖自体も二つある、ということをご存じの方は少ないかもしれません。

雨竜川をせき止めて朱鞠内湖を形成している「雨竜第一ダム」のすぐ下流の所で横から流入しているのが「ウツナイ川」で、その上流には「雨竜第二ダム」があります。雨竜第二ダムによって形成された湖も「朱鞠内湖」ですが、紛らわしいので、「宇津内湖」という別名もあるようです。

では、更科源蔵さんの「アイヌ語地名解」を見てみましょう。

 もと宇津内川と書いて、ウツは肋骨のこと。肋骨が背骨に直角につながっているように、本流に直角に入る川のこと。
(更科源蔵「更科源蔵アイヌ関係著作集〈6〉アイヌ語地名解」みやま書房 p.158 より引用)

簡潔にして要を得た解説ですね。この「ウツナイ」は「ウトナイ湖」などと同じく ut-nay で「あばら・川」という意味です。何故に「あばら」なのかは、更科さんの解説を見れば一目瞭然ですね。

蕗ノ台(ふきのだい)

朱鞠内湖の北西側の地名です。残念ながら(?)アイヌ語地名では無いのですが……。では、「北海道駅名の起源」から。

ここはもと地名がなかったので、開駅のときに付近にフキが繁茂していたから、こう名づけたものである。
(「北海道駅名の起源(昭和48年版)」日本国有鉄道北海道総局 p.115 より引用)

うわわっ(汗)。地名がもともと無かったというのは凄い話ですね。「この辺に 蕗がたくさん あったから 今日からここは 蕗の台駅」ということなのでしょうか(汗)。ちなみに、蕗の台駅の隣の「白樺駅」の由来も、「付近一帯がシラカバの密林であったから」なのだそうです。

なお、蕗の台駅のあたりを流れている川は先ほどの「ウツナイ川」で、上流で「エビシオマップ川」と「カルウシナイ川」「ルヤンペナイ川」に分かれています。e-pis-oma-p頭・浜・入る・もの」と kar-us-nay刈る・いつもする・川」そして ruy-an-pe-nay砥石・ある・ところ・川」でしょうね。ま、こうやって見てみると「地名がなかった」というわけでも無さそうではありますが……。

母子里(もしり)

朱鞠内湖北東の地名です。日本の観測史上で最も低い気温を記録したところとして有名ですね。アイヌ語で mosir とは「島」であったり「土地」であったり、あるいは「世界」であったりするのですが……。山田秀三さんの「北海道の地名」を見ていきましょうか。

 モシリウンナイ川は雨竜川の最も奥の東支流であるが,支流というより,いくつかに分かれた水源の東端の川であった。今は朱鞠内湖ができたので,湖の北端部に東から注いでいる川である。この名はモシリ・ウン・ナイ(moshir-un-nai 島が・ある・川)で続けて呼べばモシルンナイだったであろう。川中島があったからの名らしいが,今はそんな島は見えない。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.88 より引用)

はい。「母子里」は「モシリウンナイ」を下略した地名だったのでした。mosir-un-nay で「島・ある・川」となりますね。続きを見てみましょう。

 冬はマイナス40度以下にも下がる日本中での寒い土地である。長い長い雨竜川を北に上りつめた山中である。暗い処かと思っていたが,夏に来て見たら明るい小高原であった。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.88 より引用)

確かに。母子里にも何度か行きましたが、陽光のどけき素敵なところでした。

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