2014年1月26日日曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (171) 「雄鎮内・白鳥・茂瀬」

 


やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである)

雄鎮内(おちんない)

滝上町東部の地名。国鉄渚滑(しょこつ)線に同名の仮乗降場もありました。

雄鎮内は、「──内」という位ですからもともとは川の名前なのですが、地図を見てみると、西隣の濁川のあたりで渚滑川に注ぎ込む「パンケオチンナイ川」という川があります。このあたりの渚滑川は切り立った崖の下を流れているように、地形図からは見て取れますが……。

音からは o-chin-nay と読み取れます。これだと意味は「河口・崖脚・川」となりますね。「崖脚」という言葉は耳慣れないのですが、どうやら「崖錐」のことのようで、崖の下の方にある岩屑のことなのだとか。

「滝上」というところは、その名の通り滝が多いところなのだそうですが、雄鎮内の場合は「滝」ではなく、岩が崩れたような状態……なのかも知れません。Очень хорошо!

白鳥(しらとり)

滝上町南部の地名です(もっとも町域が南北に広いので、町域の中心よりは北東に位置しますが)。一見、和名に思えますが……そうでは無いようでして。

というわけで、我らが「角川──」(略──)を見てみましょう。

 しらとりまっぷ シラトリマップ〈滝上町〉
(「角川日本地名大辞典」編纂委員会・編「角川日本地名大辞典 1 北海道(上巻)」角川書店 p.725 より引用)

なるほどっ。もともと「シラトリマップ」と呼ばれていたところが、下略されて「シラトリ」になった、ということのようです。

地名はアイヌ語のシリトクオマプ(山の出鼻にある川)によるという(滝上町史)。
(「角川日本地名大辞典」編纂委員会・編「角川日本地名大辞典 1 北海道(上巻)」角川書店 p.725 より引用)

ふむふむ。sir-etok-oma-p で「山・頭の突出部・そこにある・もの」と解釈できますね。あるいは「山・頭の突出部・そこに行く・もの」のほうがわかりやすいかもしれません。

ただ、ちょっと気になるのが、滝上町白鳥を流れる川の名前が「シュウトルマップ川」なのですね。「シリトクオマプ」とは似ているようでもあり、しかし、ちょっと違うようにも思えます。違うというか、sir-utur-oma-p で「山・間・そこにある・もの」とも解釈できてしまうのですね。

地形図を見た感じでは、どちらにでも解釈できそうな気がします。音としても似たようなものですから、案外どっちでも通用していたのかもしれませんね。

茂瀬(もせ)

滝上町西部の地名です。一見、和名に思えますが……(もういい)。

地図を見ると、「茂瀬」の近くに「モセカルシュナイ川」があることに気がつきます。モセカルシュナイ川について、山田秀三さんの「北海道の地名」によると……

 渚滑川本流を滝上布街から約10キロ上った処に入る西支流の名。割合に長い川で川筋に平らな処も見える。モセカルシナイ(mose-kar-ush-nai いらくさ・を刈る・いつもする・川)の意。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.183 より引用)

はい。これも良くある地名ですね。mose-kar-us-nay で「いらくさ・刈る・いつもする・川」という意味です。おそらく「モセカルシュナイ」が下略されて「茂瀬」になった、ということなのでしょう。

ちなみに……

現名の中のシュは永田方正氏の変な仮名使いが残ったもので,アイヌ語はシ(子音)なのであった。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.183 より引用)

そうなんですね。子音の「ㇱ」を「シュ」と綴る氏の悪癖が、未だに川の名前として残ってしまっている例の一つなのでした。

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