2014年3月1日土曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (180) 「デボツナイ川・尻岸馬内川・鳥沼」

 


やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである)

デボツナイ川

ヌッカクシ富良野川とベベルイ川の間を流れていて、下流部でヌッカクシ富良野川と合流する小河川の名前です。これは、もしかして……と思ったのですが、どうやらその「もしかして」だったようです。

「デボツナイ」は、どうやらもともとは「チェポッナイ」だったようです。即ち chep-ot-nay で「魚・多くいる・川」ですね。同名の川は道内各所にあるのですが、ここでは何故か「チェ」が「デ」に変化してしまったようです(もしかしたら誤記かもしれませんね)。



尻岸馬内川(しりきしまない──)

JR 根室本線「島ノ下駅」の近くを流れる川の名前で、同名の山もあります(尻岸馬内山)。さて、一体この名前の由来は……? 山田秀三さんの「北海道の地名」を見てみましょう。

尻岸馬内川は芦別市,富良野市の境を流れている空知川南支流。明治29年5万分図ではモシリケシオマナイ。古いころの芦別側の字名も茂尻岸馬内であったが,その「モ」が落ちた形で現在は呼ばれている。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.69 より引用)

なるほどー。「モシリケシオマナイ」ということは、mosir-kes-oma-nay ですね。「島・末端・そこにある・川」でしょうか。

この川口の辺を今「島の下」といい,富良野市側に根室本線の島の下駅がある。モシリケシを訳したものか,あるいはその地形によって和人が同じ意味の名をつくったかであったろう。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.69 より引用)

ふむふむ。せっかくなので「北海道駅名の起源」も見ておきましょうか。

  島ノ下(しまのした)
所在地 富良野市
開 駅 大正2年11月10日(客)
起 源 アイヌ語の「モシリ・ケㇱ・オマ・ナイ」(島の下手にある川)の意で、その上の部分を訳したものである。
(「北海道駅名の起源(昭和48年版)」日本国有鉄道北海道総局 p.119 より引用)

なるほど。確かに間違いなさそうです。ところが……

  茂 尻(もしり)
所在地 赤平市
開 駅 大正7年12月28日
起 源 アイヌ語の「モシリ・ケㇱオマ・ナイ」(島の下手にある川)の上部をとったものである。最初貨物駅として開業したが、大正15年7月15日一般駅となった。
(「北海道駅名の起源(昭和48年版)」日本国有鉄道北海道総局 p.117 より引用)

あれれ? 茂尻も島ノ下も根室本線の駅ですが、所在地からも分かるように少し離れた所にあります。まぁ、同じ名前の川は道内のあちこちにあるので、それぞれ別の mosir-kes-oma-nay があったと考えれば良いのですが……。

ちょっと気になったので「東西蝦夷山川地理取調図」をチェックしてみたところ、現在の「尻岸馬内川」と思しきところには「リウル」とあります。あれれ?

ri-ur であれば「高い・丘」あたりでしょうか。川の名前としてはちょっと変わっていますが……。

で、その「リウル」の隣に「シリケシヨマ」がありました。どうやら現在の「尻岸馬内山」の南麓では無く、北麓を流れていた川の名前だったように見て取れます。

というわけで、「尻岸馬内川」の由来ですが、もしかしたら sir-kes-oma-nay で「山・末端・そこにある・川」だったのかもしれません。

もっとも、「島ノ下」という地名が名付けられるくらいですから、sirmosir としても認識されていた、というのが正解なのかもしれませんね。

鳥沼(とりぬま)

富良野駅からベベルイ川沿いに東に行くと「鳥沼公園」という公園があります。地名としては「西鳥沼」「東鳥沼」があるようですが、さて、その由来は……? 今回は、更科源蔵さんの「アイヌ語地名解」から。

 鳥沼(とりぬま)
 富良野市ペペルイは沼の多いところと前に述べたが、この鳥沼もその一つで、昔はチカプントー(鳥のいる沼)といったところである。
(更科源蔵「更科源蔵アイヌ関係著作集〈6〉アイヌ語地名解」みやま書房 p.120 より引用)

おお、実にあっさりと答が出ました。chikap-un-to で「鳥・そこにいる・沼」というわけですね。

ペペルイ川の上流上富良野の境にある沼をチェプントーといって、こっちは魚の多い沼だったので魚沼(チェプントー)といったところ。
(更科源蔵「更科源蔵アイヌ関係著作集〈6〉アイヌ語地名解」みやま書房 p.120-121 より引用)

なるほど、そんな沼が……と思って地形図を見てみたのですが、残念ながらそれっぽい沼は見当たらず。埋め立てられてしまったのかもしれませんね……。

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