2014年3月23日日曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (187) 「寿都似山・ペンケハユシニナイ川・苦茶古留志山」

 


やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである)

寿都似山(すとうに──)

平取町豊糠から 7~8 km ほど東に位置する山(1,011 m)の名前です。山の南麓からは「シドニ川」が流れています。

「シドニ川」と言われると、何だかオペラハウスあたりが建ってそうな感じがしますが(しません)、これは何だろう……と思って古い地図を調べてみたところ、そこには「シュト゚ニ」とありました。「ト゚」は見慣れない方が多いと思いますが、現代風に表記すると「トゥ」相当の音です。

寿都似山は、山自体が巨大な尾根のようになっています。この形状を考慮すると、si-tu-nay で「大きな・峰・沢」だった可能性が考えられそうです。

ペンケハユシニナイ川

額平川とシドニ川の合流点から更に上流に遡ったところを北から南に流れている川の名前です。「ペンケ──」の隣には「パンケ──」がありそうなものなのですが、額平川の川下にある川は「ウエンハエシナイ川」という名前になっています。

「ペンケハユシニナイ」という音からは、penke-hay-us-nay という川名が想像できます。これだと「川上の・エゾイラクサの繊維・多くある・沢」といった意味になります。

「あれ?『ニ』はどこへ行ったの?」とお思いの方もいらっしゃるかも知れません。そこで、東西蝦夷山川地理取調図をチェックしてみると、「ペニケアユンナイ」とありました。

その後、明治期の地図を見てみると、そこには「ペンケハユシニナイ川」は無く、隣の「ウエンハエシナイ沢川」のところに「ハユシニナラ」とありました。かなり異同が激しいのですが、「ハユシュナイ」という発音をカナ表記した時の「ュ」が「ニ」に化けてしまった、あたりが案外正解なんじゃないかなぁ、と思っています。

苦茶古留志山(くちゃこるし──)

幌尻岳から見て西北西の位置にある山の名前です。……あまりに味わい深い字が当てられていたので取りあげてみました。山の西側には「クチャコルシュナイ沢」があり、幌尻橋の下流で額平川に注いでいます。

音の響きから想像すると、kucha-kor-us-nay あたりの解が考えられます。これだと「山小屋・持つ・いつもする・沢」となりそうですね。

「小屋」を意味する地名には kas という単語が良く出てくるのですが、kas は「仮小屋」のニュアンスがあるのに対して、kucha は「常設の山小屋」といった意味を持つそうです。クチャコルシュナイ沢の(おそらく)下流部には、常設の小屋を建設するのに良い場所があったのでしょうね。

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