2014年7月13日日曜日

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北海道のアイヌ語地名 (194) 「長都・根志越・祝梅」

 

やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)

長都(おさつ)

o-sat-nay
河口・乾く・川
(典拠あり、類型多数)
千歳市北部の地名・川名で、同名の駅もあります。これは簡単ですね。o-sat-nay で「河口・乾く・川」あたりでしょう。

答合わせの意味も込めて、山田秀三さんの「北海道の地名」を見てみましょう。

 永田地名解は「オサッ。涸れ川尻。此川夏に至れば沼に注ぐ処乾涸せる故に名く。長都村」と書いた。o-sat-nai(川尻・乾く・川)の意。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.53 より引用)
あー、やっぱり……。続きを見てみましょうか。

ずいぶん前、川尻の部落に行って聞いたら,この川は夏でも涸れませんよという。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.53 より引用)
あれっ? ちょっと話が違いますね。どうしたことでしょう。

帰って松浦氏西蝦夷日誌を見ると「ヲサツ。川広けれども川口乾いて舟入難き儀なり」と、永田氏と同じことが書いてある。この辺は地名のつけられた昔とは地形が変わっているようである。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.53 より引用)
うーむ。これはどうしたことでしょう。山田さんは「地形が変わっているようである」と結んでいますが、明治期の地図を見てみると、長都川が千歳川に流れ込むあたりに「オサッ・トー」と呼ばれる巨大な沼があったことがわかります。
(「北海道地形図(明治29年)」北海道立図書館 デジタルライブラリーより引用)
この巨大な沼も、後にことごとく干拓され、現在では失われてしまいました。ですから「地形が変わっているようである」というのは間違いでは無いのですが、山田さんが現地を訪れた頃には、まだ沼地は健在だった可能性もありそうです。

http://www.sp.hkd.mlit.go.jp/kasen/10chisui100/jigyo/j036.html によると、長都沼の干拓のために千歳川をつけ替えたのは昭和 36 年とのことです。

本来、長都川は沼に注ぎ込む川だったわけで、その河口部が干上がっているというのは少々理解に苦しむところもあるのですが、永田地名解にもある通り、河口部に泥濘が浮き上がっていて舟が使えない、と見るのが本質的な解釈なのかもしれませんね。

根志越(ねしこし)

nesko-us-i
クルミの木・多くある・ところ
(典拠あり、類型あり)
千歳市市街地の北部に位置する地名です。……他に特筆すべき話題も無いので、早速「北海道の地名」を見ていきましょうか。

ネㇱコ・ウシ(neshko-ush-i 胡桃の木が・群生する・処)で,二つ続く母音の一つが落とされて根志越となったのであろう。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.54 より引用)
ふむふむ。nesko-us-i で「クルミの木・多くある・ところ」ですね。なるほど……(本当に他に特筆すべき話題が無いらしい)。

以上!(ぉ)

祝梅(しゅくばい)

sukup-hay?
成長する・イラクサ
(? = 典拠あるが疑問点あり、類型あり)
千歳市北東部の地名です。「千歳市の祝いの梅」というのはいかにもめでたい感じがしますが、「シュクバイ」という音からはアイヌ語っぽい雰囲気も感じられます。今回は、「角川──」(略──)を見てみましょう。

 しゅくばい 祝梅 <千歳市>
石狩地方南東部,千歳川支流祝梅川の流域。地名の由来は,アイヌ語のシュクハイ(イラクサが沢山ある所の意)による。
(「角川日本地名大辞典」編纂委員会・編「角川日本地名大辞典 1 北海道(上巻)」角川書店 p.698 より引用)
おー、やはりアイヌ語由来なんですね。念のため「北海道の地名」も見ておきましょうか。

永田地名解は「シユクパイ。生長したる蕁麻」と書いた。shukup-ai(育った・いらくさ)と読んだものだが,よく分からない。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.54 より引用)
ふむふむ、sukup-hay で「成長する・イラクサ」なのですね。ちなみに、イラクサってどんな植物? という話なのですが……

イラクサ(刺草・蕁麻、英名:Nettle、学名:Urtica thunbergiana)とは、イラクサ科イラクサ属の多年生植物の一種、または総称。多年生植物で30~50cmの高さになり、茎は四角く、葉と茎に刺毛がある。
(Wikipedia 日本語版「イラクサ」から引用)
ふむふむ。

日本でもイラクサの方言は多く、アイコ(アエコ)、イラナ(イラ)、アエダケ(アイダケ・エダケ)など、地域によって呼び名が変わる。イタイタグサともイラグサとも呼ばれる。
(Wikipedia 日本語版「イラクサ」から引用)
「アイコ(アエコ)」というのは hay と近いかもしれませんね。イラクサにも多数の種(亜種?)があるようなのですが、アイヌ語で「イラクサ」を意味する単語もいくつか存在するようです(ikarayi-pisisi-pkapayiriripmose など……?)。

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