2014年12月20日土曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (239) 「糸櫛別・忠類・薫別」

 


やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)

糸櫛別(いとくしべつ)

標津町西部、国道 244 号線沿いの地名です。糸櫛別には、戦時中に建設が進められていた国鉄根北線の駅もできる予定だったのだとか……。

マイナーな地名なので資料が見つからなかったのですが、灯台もと暗し、標津町役場の Web サイトに記載がありました(http://www.shibetsutown.jp/dic/contents/03/0303/032.html)。なるほど、etok-us-pet で「先・そこにある・川」なのですね。

忠類(ちゅうるい)

忠類川は斜里岳の南麓から東に流れる川の名前で、河口部に忠類の集落があります。十勝の旧・忠類村と同名なので紛らわしいのですが、どうやら由来もほぼ同じである可能性が高く……(汗)。山田秀三さんの「北海道の地名」を見てみましょう。

忠類 ちゅうるい
 古多糠川の一本南の川の名,地名。上原熊次郎地名考は「チウルイ。水勢の強きといふ事。此川瀬早き故此名ある由」と書いた。チウ・ルイ(chiu-rui 波,水流・激しい)の意。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.232 より引用)

はい。chiw-ruy で「水流・激しい」と考えれば良いのですね。

薫別(くんべつ)

いつになくあっさりと話が進んでしまっていますが……(汗)。薫別は標津町北部の地名で、同名の川の河口部に存在する集落です。「薫別」は陸別町にも同名の集落がありますね。

明治期の地図を見ると、川の名前としては「クン子ペッ」と記されています。ただ村の名前としては既に漢字の「薫別」が使われていました。あっ、ますますネタバレ感が……(汗)。

では、今回も「北海道の地名」から。

薫別 くんべつ
 崎無異川の一本南の川の名,地名。松浦図は「クンネヘツ」,松浦氏初航蝦夷日誌は「クンネベツ。此辺り,満面鉄砂有と聞り」また同氏知床日誌は「クンネヘツ。暗川と云義。メナシ第三の川也」と書いた。永田地名解は「クンネ・ペッ kunne-pet(黒・川)。此川の魚皆黒し。故に名く」とした。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.231 より引用)

はい。どう見ても kunne-pet で「黒い・川」のようです。「訓子府」や「国縫」と同じ kunne 系の地名ですね。もっとも、何故 kunne なのかは場所によって様々で、解釈が分かれるところだったりします。

川口近くを通っただけだが,からっとした川で暗いとも思えない。釣り好きの運転手は,ここの魚が黒いなんて聞いたことがないという。川石も黒くない。あるいは砂鉄が多かったので黒い川とでもいったものか。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.231 より引用)

山田さんはこのように首を傾げますが、一方で更科源蔵さんは次のように断じていました。

魚が黒いからでなく、川底が黒いので保護をするため魚の色が黒くなるのである。
(更科源蔵「更科源蔵アイヌ関係著作集〈6〉アイヌ語地名解」みやま書房 p.281 より引用)

なるほど。何となくわかったような、それでいて良くわからないような感じも受けますが、妙な説得力がありますよね(汗)。

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