2015年4月19日日曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (244) 「松法・ソスケ川・礼文町」

 


やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)

松法(まつのり)

羅臼町のアイヌ語由来の地名は、大変残念なことですが、昭和 30 年代に大量に失われています。この「八木浜……あ、間違えた。「松法」もs(ry

えー、のっけからグダグダですが、更科源蔵さんの「アイヌ語地名解」を見てみます。

 松法(まつのり)
 羅臼海岸の部落。日本名のようであるがやはりアイヌ語で、マチネ・ウリリ(雌の鵜)であるという。
(更科源蔵「更科源蔵アイヌ関係著作集〈6〉アイヌ語地名解」みやま書房 p.281 より引用)

はい。実はそういうことらしく、matne-urir で「雌・鵜」ではないかとされています。もっとも、更科さんはこの解に疑問があるらしく、次のようにも記しています。

マチネ・ウリリであれば、ピンネ・ウリリ(雄の鵜)もなければならないはずであるが、それが見当たらないからである。
(更科源蔵「更科源蔵アイヌ関係著作集〈6〉アイヌ語地名解」みやま書房 p.282 より引用)

確かに、言われてみれば、「マツネシリ」の近くには必ず「ピンネシリ」がありますから、matne- の近くに pinne- が見当たらないのはおかしい、という考え方には頷けるものがあります。とは言っても、他に有力な解釈が無さそうな感じもしますので、「ピンネ・ウリリ」という地名は何らかの理由で失われた、と考えるべきなのでしょうか。

ソスケ川

国道 335 号線に「第 5 相助橋」という橋がかかっていて、「これは何だろう?」と思っていたのですが、どうやら「ソスケ川」という川に架けられている橋のようです。

この「ソスケ川」の由来ですが、素直に soske で「地肌が顕になっている崖」なのかな、と思います。別の言い方をすれば「剥げている崖」ですね。

礼文町(れぶんちょう)

礼文島の礼文町には「知床」という集落があり、知床の羅臼町には「礼文町」という地名があるのですが、これはもちろん単なる偶然です。ということで今回は山田秀三さんの「北海道の地名」から。

 礼文町 れぶんちょう
 羅臼市街の南の処の名。永田地名解は「レプイ・シララ。海・岩」と書いた。ゆっくりいえばレプン・シララ(repun-shirar 沖に出ている・岩)。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.229 より引用)

ふむ。repun-sirar で「沖にある・岩」ということですね。ちなみに永田地名解に repuy-sirar とあるのは、実はこちらが正確な形だったのでした。知里さんの「アイヌ語入門」にも、次のようにあります。

iv) n は,s の前に来れば,y に変る。
(知里真志保「アイヌ語入門 復刻─とくに地名研究者のために」北海道出版企画センター p.168 より引用)

おお! 今回は確かにこの形ですね。永田方正翁も知里さんも抜かりは無かったと言えそうです。

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