2015年6月21日日曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (260) 「雷別・シャクライッペ川・片無去」

 


やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)

雷別(らいべつ)

標茶町中茶安別から西に 3 km ほどのところの地名です。同名の川が国道 272 号線沿いを流れています。相当マイナーな地名ですが、幸いなことに、更科源蔵さんの「アイヌ語地名解」に記載がありました。

 雷別(らいべつ)
 標茶町から厚岸へ行く途中の部落。ライ・ペッは死んだ川、即ち古川のことである。流れが死んだように静かな川の意かと思う。
(更科源蔵「更科源蔵アイヌ関係著作集〈6〉アイヌ語地名解」みやま書房 p.253 より引用)

「死んだ川、即ち古川のことである」としながら「流れが死んだように静かな川の意かと思う」とつなぐあたりが流石ですね(笑)。

地形図を見た感じでは、ほぼ全域にわたって湿原の中を流れているように描かれています。おそらくその流れも相当遅いものではないかと想像できますので、「流れが死んだように静かな川」と解釈するのが合っているんじゃないかな、と思います。ray-pet で「流れが死んだように停滞している・川」としておきましょう。

シャクライッペ川

標茶町中茶安別から「チャンベツ川」を 2 km ほど遡ったところでチャンベツ川に合流している支流の名前です。素直に読み解けば、sak-ray-pet で「夏・流れが死んだように停滞している・川」となりそうな気がします。

シャクライッペ川は、確かに雷別川の近くを流れている川でもあるので、「夏の雷別川」と読み解けなくも無いのですが、たまたまどちらも同じような特性の川(流れがひどく遅い)でお互いを区別する必要があったので、「シャクライッペ川」には sak- を接頭詞として追加しただけなんじゃないかな、と思いました。

この川は、流れが停滞するのが特に夏に顕著だった、といった感じだったのでは無いでしょうか。

片無去(かたむさり)

標茶町の地名・川名です。地名としては「片無去」「北片無去」があり、川名としては「片無去川」「東片無去川」などがあります。

なんとも珍しい地名ですが、更科源蔵さんの「アイヌ語地名解」に記載がありました。

 片無去(かたむさり)
 カタㇺ・サリの当字で、つるこけももの湿原の意。
(更科源蔵「更科源蔵アイヌ関係著作集〈6〉アイヌ語地名解」みやま書房 p.254 より引用)

ふむふむなるほど。katam-sar で「ツルコケモモ・湿原」なのですね。

厚岸町にも同名の地名あり。
(更科源蔵「更科源蔵アイヌ関係著作集〈6〉アイヌ語地名解」みやま書房 p.254 より引用)

これはなんともびみょうな話なのですが、標茶町に「片無去川」「東片無去川」という川が流れています。片無去川と東片無去川はどちらも北に向かって流れているのですが、両河川とも水源は厚岸町にあります。

東片無去川の水源から峠を越えて 2 km ほど南に進んだ所に「片無去」の集落があります。片無去は丘の上の集落で、東は大別川、南にはホマカイ川が流れています。

ホマカイ川を遡ったところに、標茶町の「北片無去」があります。このネーミングは「厚岸町片無去の北に位置する」という意味のようにも思われますので、結局のところは「片無去(川)」という地名は一つしか無いようにも思えるのですが、いかがでしょうか(文章だけで説明するのは無理があると思いますので、地図も併せてご覧くださいませ)。

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