2015年8月1日土曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (271) 「シュンケップウシュナイ川・クニクンナイ川・シロンド川」

 


やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)

シュンケップウシュナイ川

チョウマナイ川の東を流れるオソベツ川の支流の名前です。カタカナ 11 文字の川名はなかなかお買い得な感じ(どんな感じだ)なので取り上げてみました。

釧路川から見ると支流(オソベツ川)の更に支流なので、松浦武四郎の記録には見当たらないようです。明治期の地形図には「シュンケップウシュナイ」とあります。いかにも永田方正っぽいカナ表記なのですが、「北海道蝦夷語地名解」にも記載は無さそうな感じです(見落としていたらすいません)。

「シュンケップウシュナイ」ですが、これは素直に sunkep-us-nay で、「エゾヤマハギ・多くある・川」と読み解けるのかな、と思います。

ちなみに、sunkep という単語ですが、知里さんの「──植物編」には「エゾヤマハギ」の他にも「ホザキシモツケ」という意味も掲載されています。「エゾヤマハギ」はマメ科ハギ属で「ホザキシモツケ」はバラ科シモツケ属なので、要は結構な違いがある筈なのですが、アイヌ語ではこの両者が混同されていたみたいですね。

クニクンナイ川

シュンケップウシュナイ川の東側を流れるオソベツ川の支流です。シュンケップウシュナイ川と同様、戊午日誌や東西蝦夷山川地理取調図には記載が見当たりません。さて、これは何だろう……と思っていたのですが、幸いな事に明治期の「北海道地形図」に「クテクンナイ」と書いてあるのが見つかりました。

あ、これなら簡単ですね。中標津の「クテクンベツ川」とほぼ同じだと考えて良いでしょう。kutek-un-nay で「柵・ある・沢」だと考えられます。

つまり、現状は「テ」を「ニ」に誤記したままになっている、ということになりそうですね……(汗)。

シロンド川

ルークシュポール」ほどでは無いですが、これも随分と日本語離れした地名のように思えます。オソベツ川の支流ですが、ほぼ釧路川と併流している小河川です。山裾に平行して流れているので、上流部を見ると「人工河川かな?」とすら思えるのですが、下流部を見る限りは自然河川のようです。

松浦武四郎の記録には「シロンド(川)」なる記録は見当たらないのですが、東西蝦夷山川地理取調図を見た限りでは、「ホントウ」もしくは「ホロトウ」とあるあたりが該当するように思えます。

並びて少し下に右のかた
     ホントウ
谷地様の沼なり。
(松浦武四郎・著 秋葉実・解読「戊午東西蝦夷山川地理取調日誌 上」北海道出版企画センター p.476 より引用)

これを見る限りは pon-to のように思えますが、少し釧路川を遡ったところにも pon-to があるようなので、こっちは poro-to だったのかも知れません。ただ、いずれにしても「シロンド川」とは語感が異なるようです。

「シロンド川」と「トー」から考えると、sir-un-to だった可能性が考えられるかな、と思います。これだと「山・つけている・沼」となるのですが、シロンド川とオソベツ川の間の尾根を形容した地名と考えることができるのではないか、と思います。

ちなみに、鎌田正信さんの「道東地方のアイヌ語地名」によると、sir-onto で「山・尻(ふもと)」では無いかとのこと。この解も現状の地勢を見る限りでは矛盾が無さそうなので、要検討かな、と思います。

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