2017年3月12日日曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (423) 「先開・ウエンベツ川・ルロコマナイ川」

 


やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)

先開(さっかい)

和名?
sak-ika-us-i?
夏・溢れる・いつもする・もの


黒松内町北部の地名です。現在は「北作開」と「南作開」に分かれていますが、これは細木数子の影響によるもの……では無いのでしょうね、おそらく。

黒松内町自体は黒松内村・熱郛村・樽岸村の一部が合併してできたものですが、その中の熱郛村は「熱郛村」と「先開村」が合併してできたものでした。「先開」という字からは開拓地名のようにも思えますが、「サッカイ」あるいは「サクカイ」という音からはアイヌ語由来のように思えます。ということで、傍証は無いのですが(ここ重要)、アイヌ語由来だったらどんな意味だったのか、ちょっと考えてみました。

道北の天塩町に「作返」と書いて「さくかえし」と読む地名があるのですが、更科源蔵さんの「アイヌ語地名解」によると「サッカイシは夏に湖が増水するところの意だという」とあります。sak-ika-us-i であれば「夏・溢れる・いつもする・もの」と解することができますね。

「角川──」(略──)によると、北檜山町(現在の「せたな町北檜山区」)にも「栄」という地名があり、その旧名が「サッカイシ」だったとのこと。ということで、「サッカイシ」はどうやら道北に限らないみたいです。

ということで、黒松内の「先開」も sak-ika-us-i だったんじゃないかな、と考えていたりします。何が夏になると溢れていたのかという話ですが、天塩の「作返」と黒松内の「先開」には、どちらも「三日月湖」がある(あった)ように思えるのですね。三日月湖と現河道の間は自然堤防によって区切られているので、川が増水したときには自然堤防を越えることも多かったのではないかな、とか……。

ウエンベツ川

wen-pet
悪い・川


黒松内町南先開を流れる朱太川の支流です。東西蝦夷山川地理取調図を見ると「セヨヘツ」という川があり、その上流が「ウエンヘツ」となっていますが、現在は全域で「ウエンベツ川」となっているようですね。少し上流部を西から東に流れている「添別川」も sey-o-pet だったのではないかという話もあるので、もしかしたらその関連かもしれません。

「ウエンベツ」は道内各地至るところにあるので、もはや取り上げるまでも無いかもしれませんが、wen-pet で「悪い・川」という意味でしょう。山田秀三さんの名調子を借りると「何で悪かったかは殆どが分からなくなっている」で、その川で怪我人が出たことがあったからかもしれませんし、魚が獲れないからかもしれませんし、まぁ、何かしら良くないことがあった、ということで。

ルロコマナイ川

rur-ok-oma-nay?
潮・うなじ・そこに入る・沢


黒松内町の北部を流れる朱太川の支流の名前です。あいにく手元の資料にはこれと言ったネタが無いのですが、これはアイヌ語由来と考えていいのではないかと。

音からは rur-ok-oma-nay かなぁ、と思わせますね。これだと「潮・うなじ・そこに入る・沢」となりそうです。「うなじ」が意味不明ですが、ok-chis で「うなじ・中くぼみ」という表現があるので、「うなじ」に見立てられる地形があった……ということでしょうか。

地形図を見ると、ルロコマナイ川と海の間に 10 m の等高線があり、国道の近くで若干凹んでいるようにも見えます。このことを指して「うなじ」と言ったのかな……と考えてみたのですが、どうでしょうか。

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