2026年1月10日土曜日

次の投稿 › ‹  前の投稿

北海道のアイヌ語地名 (1332) 「ホロメップ川・オシヨップ川」

 

やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)

ホロメップ川

poro-mep
大きな・泉池
(旧地図等に記載あり、既存説、類型あり)
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
慶能舞川の最下流部の支流で、日高自動車道の橋から 0.3 km ほど遡ったところで北西から合流しています。

東西蝦夷山川地理取調図』(1859) には「ホンメ」と「ホロメ」という川が描かれています。


北海道実測切図』(1895 頃) には「ポンメム」と「ポロメム」が描かれています。どうやら「ポロメム」が現在の「ホロメップ川」のようですね。


『午手控』(1858) には次のように記されていました。

ケノマヱ
 ホンメフ
  のよし。蘆原または草原の本川口のよし也。
松浦武四郎・著 秋葉実・翻刻・編『松浦武四郎選集 六』北海道出版企画センター p.463 より引用)
いきなり「のよし」と言われても……と思ってしまいますが、頭註に「ホンメップと称しているが、本名はポンメムのよし」とフォローがありました。本文でも次のようにフォローがなされています。

  メッフはメムも同様の様成事也
(松浦武四郎・著 秋葉実・翻刻・編『松浦武四郎選集 六』北海道出版企画センター p.463 より引用)
へぇ……と思ったのですが、『地名アイヌ語小辞典』(1956) にも次のように記されていました。

mep めㇷ゚ mem の転訛
知里真志保『地名アイヌ語小辞典』北海道出版企画センター p.59 より引用)
うわわ、見落としてました。なお『午手控』には何故か「ホンメフ」だけが記されていて「ホロメフ」の記載がありませんが、poro-mep で「大きな・泉池」だったと見て間違いないかと思われます。

オシヨップ川

o-so-o-p??
河口・滝・そこにある・川
(?? = 旧地図等で未確認、独自説、類型あり)
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
慶能舞川上流部、日高町字清畠の北東で慶能舞川に合流する支流です。『北海道実測切図』(1895 頃) には似た位置に「フラヌイ」と描かれているように見えます。


『午手控』(1858) にも「ホラヌイ」とあり、「フラヌイと云事(は)、匂を嗅しと云事也」とあります(松浦武四郎選集 六 p.464)。hura-nu-i で「臭みを・持つ・もの」と見て良さそうですね。

「オシヨップ川」という川名は国土数値情報によるもので、ソースによっては「オシップ川」とするものもあります。困ったことに、どちらにしても『東西蝦夷山川地理取調図』(1859) や『北海道実測切図』にそれらしい川名を確認できません。

「実測切図」には「オイオプ」という川が描かれているものの、現在の「清畠左1号川」のあたりで、位置がかなり異なります。o-i-o-p であれば「河口・アレ・多くいる・もの」と読めそうでしょうか。「アレ」は言挙げを憚られるものに対して使用する代名詞で、ヒグマやマムシなどを指すことが多いようです。

類例を探す

類例という点では、本別に「押帯」があるほか、ほぼ同名の「オショップ川」が網走にありました。網走の「オショップ川」は o-so-o-p で「河口・滝・そこにある・川」ではないかとのこと。

今回の「オシヨップ川」の河口に滝があるかどうかは不明ですが、so は必ずしも落差のある滝とは限らない(「水中のかくれ岩」という可能性もある)ため、可能性としては排除できないかな、と思われます。

いずれにせよ、川名の出どころが「国土数値情報」のみで、古い記録が全く確認できないという時点でアイヌ語由来であるかどうか……というところから疑ってかからないといけないのですが、ほぼ同名の川が網走に存在するということから、アイヌ語由来である可能性が高い……としたいところです。

前の記事続きを読む

www.bojan.net
Copyright © 1995- Bojan International

0 件のコメント:

新着記事