2025年12月15日月曜日

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メモリアルシップ八甲田丸 (17) 「V 型 16 気筒×4」

 

メモリアルシップ八甲田丸「車両甲板」の船尾部にやってきました。車両甲板は 4 線ありましたが、船尾部で 2 番線と 3 番線が合流しています。
【ご注意ください】この記事の内容は、特記のない限りは 2017 年 8 月時点のものです。各種サービスの実施状況や利用時間などが現在と異なる可能性があります。

DD 16 31

「順路」に従って見学を続けましょう。キハ 82 101 の隣にはディーゼル機関車(DD 16 31)が置かれていました。
DD 16 の紹介文が添えられていました(Wikipedia の記事とは「製造年」が微妙に違ってますね)。頑丈なレールを敷設した幹線ではなく、比較的軽いレールを敷設したローカル線(国鉄丙線規格でしょうか)向けに「軸重」を軽くした形式とのこと。
機関車は車体の向きを変えること無く両方向に走行する必要があるので、両端に運転台を設けるのが一般的ですが、ディーゼル機関車では車体の中央に一つだけ運転室を設ける「センターキャブ」と呼ばれる方式を採用したものが多くありました。DD 16 もセンターキャブですが、エンジンが一基しか無いので、エンジンを搭載しない側に運転室がオフセットされた設計です。

ヒ 834

DD 16(あ、線路上の雪を払うスノープラウが見えますね)は「ヒ 834」という貨車?と連結されていました。
「ヒ 834」の板バネの上から金具が伸びていますが、これは車両を甲板に固定するためのものだったようです。
車番は「ヒ 834」でしたが形式は「ヒ 600」とのこと。「控車」と呼ばれる車両で、機関車と貨車の間に連結されたものとのこと。機関車と(積荷を満載した)貨車は重いので、可動橋にかかる重量を分散するために軽い「控車」を挟んで積み下ろしを行っていたのだそうです。
貨車の積み下ろしなどの、いわゆる「入換」作業を行うには、エンジンのトルクも重要ながら、それ以上に「車輪が空転しないこと」が重要だったとのこと。空転を防ぐためには車輪をしっかりと線路に押し付ける必要があり、そのためには「軸重」がある程度あるほうが有利だったみたいです。

ということは、ローカル線向けに「軸重を軽くした」DD 16 は入換作業には向いていなかった……ということになりますね。どうやら DD 16 は青函連絡船の貨車の積み下ろしには使用されていなかったようで、なぜ DD 16 が保存されているのか、謎な感じもします。

ただ控車「ヒ 600」は「連絡船専用」とも言えるレアな車両みたいなので、その相方として「軽めのディーゼル機関車」を探していたのかもしれません(DD 16 は軸重が軽かっただけではなく、そもそもの空車重量も軽かったみたいなので)。

リアリティを重視する向きからはどうなのよ!? との批判があるかもしれませんが、それを言うならお隣のキハ 82 101 も車両甲板に出入りすることはまず無かった筈なので……。

エンジンルーム!?

順路に従って車両甲板を歩いていると……あれ? 階下に繋がる階段が見えてきました。どうやらここで B1F? の「エンジンルーム」(!)に降りるようです。
階段を下りた先には、確かに「エンジンルーム」の文字が見えます。エンジンルームまで見学できちゃうとは、なんと太っ腹な……!
「地下 1 階」のエンジンルームにやってきました(「この階より海面下」という補足も嬉しいですね)。展示されているのは「① 第 1 主機室」「② 総括制御室」「③ 発電機室」とのこと。
「主機関」と題されたエリアにやってきました。「津軽丸II型『八甲田丸』機関の特徴」と書かれた説明パネルが掲げられています。

マルチプルエンジン……!

「八甲田丸」のエンジンは「マルチプル機関」と呼ばれる構造のもので、小型のエンジン 4 台の出力をまとめて 1 本のスクリュープロペラを回していたとのこと。
大出力が必要なのであれば、普通に大きなエンジンを 1 台用意すれば良いのですが、そうすると車両甲板の一部がエンジンルーム(の上方空間)に占有されてしまい、積載車両数が減少してしまいます。エンジンを車両甲板の下に収めるための窮余の策だったみたいですが、4 台のうち 1 台を停めても定時運航が可能だったらしく、なんと運航中にエンジンの整備点検を行うようになったとのこと(!)。

そのエンジンがこちら、ですが……すげぇ(絶句)。
このエンジンは MAN 社のものを川崎重工業がライセンス生産した「川崎 MAN V8V」とのこと。型番からは V 型 8 気筒のように思えますが、どう見ても 16 気筒ですよね……? 船舶業界ではエンジン全体のシリンダー数ではなくバンク単位のシリンダー数でカウントする慣習?があるんでしょうか?
この V16 と思しきエンジンを 4 台並べたものがこちらですが、これが左右合わせて 2 セットあったとのこと。つまり船全体では 16×4×2 で 128 のシリンダーがあったと思われるのですが、船全体での出力は 12,800 馬力だったとのこと。なんとわかりやすい……(笑)。

つづく!

順路に従って見学を続けます。向こうには何があるのでしょう……?

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