2010年6月22日火曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (2) 「厚真・穂別・鵡川・平取・二風谷」

 


北海道の旅 2010/春 Day 2」に出てきた「アイヌ語地名」のおさらいを続けます(メモも兼ねて……)。



厚真(あつま)

早来(はやきた)から南東にちょいと 5~6 km ほど進むと厚真の町に辿り着きます。個人的には永田方正氏の書いたとおり at-oma-p で「おひょう(楡)・ある・処」かなぁ、と思うのですが、上原熊次郎や松浦武四郎といった先人は at-ma(モモンガ・泳ぐ)説を記しているようです。

おひょう」の樹皮から紡いだ糸で折られるのが「アツシ織」です。よりアイヌ語の発音に近い表記にすると「アットゥシat-tus となります。「おひょうの・毛皮」といった意味でしょうか。

アットゥシは普段着として重宝されたほか、江戸時代には東北地方などにも大量に流通したと言われます。交易品としてのアットゥシは外貨獲得の手段ともなったわけで、それ故に原材料となる「おひょう」の自生地を知ることは重要だったのでしょう。at- で始まる地名は道内のあちこちに散見されます。果たしてこの厚真は……どうでしょうか。「おひょう」か、それとも「モモンガ」か?

穂別(ほべつ)

……実は、この「アイヌ語地名の傾向と対策」ですが、山田秀三さんの「北海道の地名」(草風館)をネタ元として使わせてもらっています。引用では無いので、ネタ元として明記はしていないのですが……。で、「穂別」(むかわ町)なんですが、何と……「北海道の地名」に記載がありません(!)。少なくとも合併前は「穂別町」という町だったわけで、まさか記載が無いとは思ってもいなかったのですが……。

永田方正氏の地名解では po-pet で「小川」としています。穂別川は鵡川の支流ですから、「ミニ鵡川」と意訳しても良いのかも知れません。

鵡川(むかわ)

6/8 の記事「シリを挟む意味を考えてみる」をご覧ください。muk-ap (つるにんじんが群生する処)説と mukka (塞がれる)説が有力なようです。

平取(びらとり)

pira-utur で「崖の・間」という意味です。いやー、悩む余地が無いというのは素晴らしい(笑)。ちなみに、pirautur もアイヌ語地名の常連さんです。「豊平川」とか「平岸」といった地名もそうですし、知床への玄関口・斜里町「ウトロ(宇登呂)」も utur です。

二風谷(にぶたに)

萱野茂二風谷アイヌ資料館」や「平取町立二風谷アイヌ文化博物館」が存在する有名なところですが、意外や意外、その意味は良くわからないのだそうです。山田秀三さんは nip-ta-i で「柄を・作った・処」か? としましたが、地元の萱野茂さんに至っては ni-tai で「森林」としてしまっています。「プ」あるいは「ㇷ゚」を完全に無視した形ですが、知里真志保先生がこれを知ったら何とおっしゃるのでしょうか。

アイヌ語地名の大家・山田秀三さんと、沙流アイヌの大家・萱野茂さんが、「平取の主なアイヌ語地名」を論じた展示が「沙流川歴史館」にありました。完全に見解が一致しているのは「平取」をはじめ半分くらいで、見解が食い違っているものも少なくありません。かなり興味深いものです。


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