2012年8月4日土曜日

次の投稿 › ‹  前の投稿

アイヌ語地名の傾向と対策 (63) 「札的・浦臼・於札内」

 


週末のお約束、傾向と対策の時間が今週もやってまいりました~



札的(さってき)

浦臼町の地名で、JR 札沼線(学園都市線)に同名の駅もあります。さて、例によって「角川──」(略しすぎ)でも見てみましょうか。


……。意外や意外、「角川──」にも「札的」という地名は掲載されていません。何と言うことでしょうー(←

仕方が無いので、「北海道駅名の起源」を見てみましょうか。

アイヌ語の「サッ・テキ・ナイ」(川の水が夏になるとやせる状態)の意で、同地の地勢からこのように名付けられたものである。
(「北海道駅名の起源(昭和48年版)」日本国有鉄道北海道総局 p.54 より引用)

ふむふむ。もともと「札的内(川)」という川があって、地名は「内」を省略して「札的」になった、ということのようですね。sattek-nay で「やせている・川」という意味のようです。

このあたりは砂礫層が目立つのか、川が地下に伏流するケースが多いようですね。

浦臼(うらうす)

札的の隣の駅で、「浦臼町」の中心地です。割と名の知れた街……だと思っていたのですが、総人口は 2,202 人ということで、思った以上に人が少ないですね……。

今度こそ「角川──」を見てみましょう。

古くはウラウシナイ・ウラシナイといい,浦牛・浦志内・浦臼内とも書いた。空知地方中央部,石狩川中流右岸。地名の由来には,アイヌ語のウラシナイ(笹川の意)による説(北海道蝦夷語地名解),ウライウㇱナイ(やながついている川の意)による説(北海道の地名)がある。
(「角川日本地名大辞典」編纂委員会・編「角川日本地名大辞典 1 北海道(上巻)」角川書店 p.197 より引用)

「北海道駅名の起源」も「ウライウㇱナイ」説のようで、山田秀三さんはそれを追認しただけ……かと思いきや、いつもながらの華麗なるフィールドワークをなされていました。その辺を「北海道の地名」から見てみましょう。

 現場に行って見ると浅い砂利底の河床の高い川である。土地の古老に聞くと,昔はこの川は平地に入って勝手に流れていて川の形になっていなかった。簗などかける川じゃないと思うとの話で少々困った。
 だが念のために土地一枚一枚の名を調べてみた。本字も仮名書きも混じっているが,早く開拓されたらしい川沿いは多く仮名書きで,ウラウスナイとウラウシナイが多い。これが古い入植者の地名である処から見ると,アイヌの呼び名に近いであろう。ush(あるいはus。アイヌ語では同じこと)のついた名で,どうも urash(笹)ではなさそうである。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.49 より引用)

山田さんは「ウラシ」が「ウラウス」になることは無いだろう、という説に立っているようですね。uray-usi-nay で「梁・多くある・小川」といった感じでしょうか。

於札内(おさつない)

「鶴沼公園」のある「鶴沼」の次の駅です。実に簡単なアイヌ語地名ですが、念のため「北海道駅名の起源」でも見てみましょうか。


……見つかりませんでした(←)。於札内駅はもともと「仮乗降場」だったらしく、正式に「駅」に昇格したのは 1987 年に JR 北海道が発足した際のことなのだとか。なるほど「──駅名の起源」には記載が無いわけです。

ということなので、今回は「北海道の地名」から。

 浦臼町内の地名,川名(石狩川支流)。札沼線於札内駅あり。鶴沼駅のする北を於札内川が流れている。オ・サッ・ナイ(o-sat-nai 川尻・乾く・川)の意。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.49 より引用)

はい。o-sat-nay で「川尻・乾く・川」としか読み解きようがありません。続きも見てみましょう。

これも砂利川で,乾期になると川尻に近い辺で,水が砂利の下にしみこんでしまって,川底が乾くのでこの称で呼ばれた。道内に同名の川が多い。例えば沙流川筋の長知内もそれである。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.49 より引用)

砂礫層の地形ではありがちな話で、川が伏流してしまっているようですね。そのせいもあってか、このあたりではメロンなどの栽培が盛んなのだそうです。砂礫層と言えば扇状地、扇状地と言えば甲府盆地、甲府盆地と言えばぶどう! という流れなのですが、さすがにぶどうを栽培するには寒すぎるのかな、などとも思ったりしました。

前の記事次の記事

www.bojan.net
Copyright © 1995- Bojan International

0 件のコメント:

最近の記事

    スポンサーリンク