2013年10月5日土曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (147) 「金田ノ岬・ノトウシ・大備」

 


やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである)

金田ノ岬(かねたのみさき)

礼文空港の北側にある岬で、礼文島東部の最北端です(実際の最北端は西部のスコトン岬)。いや、どうみても和名なんですがこれ……。というわけで、更科源蔵さんの「アイヌ語地名解」を見てみましょう。

金田ノ岬は全くの日本語で、金田という人と関係のある命名と思われる。
(更科源蔵「更科源蔵アイヌ関係著作集〈6〉アイヌ語地名解」みやま書房 p.216 より引用)

うん、そうでしょうね。因みに、旧名は「ウカウシシュマ」らしいのですが……

ウカ・ウㇱ・シュマは、岩石が積み重なっている岩という意味。
(更科源蔵「更科源蔵アイヌ関係著作集〈6〉アイヌ語地名解」みやま書房 p.216 より引用)

ふむふむ。u-ka-us-suma で「互い・の上・多くある・岩」ですか。海の向こう側には「抜海」(pakkay-suma)という地名もありますし、この辺には岩が重なる系の地名が多いですね。

ノトウシ

金田ノ岬の南側で、礼文神社のちょっと北側あたりの地名です。礼文町大字船泊村字ノトウシ、ですね。

ノトウシ……という地名からは、not(岬)と us-i(多くある・所)が連想されるのですが、not-us-i だとすれば「ノツシ」となってしまって「ノトウシ」では無くなってしまいます。not-o-us-i で「岬が・そこで・多くある・ところ」という解釈は……ちょっと文法的に厳しい感じもします。

となると…… noto-us-i で「凪・多くある・所」あたりかなぁ、と思ったりもします。金田ノ岬とスコトン岬の間は「船泊湾」で、外海と比べると多少は波も穏やかなんじゃないか、と想像しています。

大備(おおそなえ)

久種湖の北側に位置する、旧・船泊村の中心地です。この辺りの小字名は「ヲションナイ」だとありますね。「ヲションナイ」が「おおそなえ」になった、ということなのでしょう。

久種湖は、元々は海だったものが、砂嘴によって海との間を塞がれて湖になったものと想像できるのですが、久種湖と船泊湾の間を流れている川の名前が「大備川」です。また、久種湖に注ぐ川の名前も「大備川」となっています。

「ヲションナイ」という音からは、o-so-un-nay あたりが連想されます。これは「河口・滝・ある・川」という意味になるのですが、大備川の河口は砂浜に広がっているため、とても河口に滝があるようには見えません。これはどうしたことでしょうか……。

改めて地図を見てみると、「大備」の真東に「オションナイ山」がありました(9/29 の記事もご覧ください)。うっかりしていたのですが、「大備」と「オションナイ山」はルーツが同じだったと考えられそうです。つまり、オションナイ山のあたりから久種湖に注ぐ川が、河口に滝があったと考えられるのではないでしょうか。

「久種湖に注ぐ」というのは全くの推測で、実際には船泊湾に直接注ぐ川かも知れません。大備の集落の寺が群在するところは、等高線と補助線の間隔がかなり狭まっているので、傾斜が結構急であることを想像させます。

というわけで、「大備」の語源となった「オションナイ川」がどこに存在していたのかという謎は残りますが(現在の大備川では無い、と思います)、その語源は o-so-un-nay だったと考えて良いかなぁ、と思います。

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