2010年10月23日土曜日

次の投稿 › ‹  前の投稿

アイヌ語地名の傾向と対策 (17) 「宗谷・声問・稚内」

 


さぁーて、「北海道の旅 2010/春」のルートを辿って地名の意味をピックアップしているこの企画?ですが、ようやく二日目のおわりに辿り着きそうです。……いつまでこのペースで続けるのやら。


宗谷(そうや)

言わずと知れた「日本最北」の地ですが、実は択捉島の最北端の方が緯度は高かったり……本題から逸れるのでこの話はこの辺で。まぁ、宗谷岬のあたりでは、何かと「日本最北」のアレソレを見ることができます。日本最北の登坂車線とか、日本最北のチェーン脱着場とか……(←

さて、この「宗谷」の意味ですが、永田方正翁の「北海道蝦夷語地名解」には、「So ya ソー ヤ 岩嶼」との記載があります。また、「『ソーヤ』ハ『サンナイ』ノ海中ニアル岩嶼ノ名ニシテ此地ノ名ニアラズ場所ヲ置ク時『ウエントマリ』ノ名ヲ忌ミテ『ソーヤ』ヲ以テ此ノ地ノ場所ノ名トス此例處々ニコレアリ○宗谷(村)」という長ーい注釈も付記されています。一体どういう意味なんでしょうか。

なるべく平たく書いてみますと、まず、(1) 今、宗谷岬があるあたりは、もともとは wen-tomari という名前だった、(2) wen-tomari は「悪い・泊地」という意味なので、ここに「場所」(交易所)を設ける時にその名前を忌み嫌って、近所にあった岩嶼の名前を拝借した、といったところでしょうか。

「ソーヤ」の意味は、soya で「岩礁多い海岸岩岸」とあります(知里真志保「地名アイヌ語小辞典」p.126 より)。つまり、そのまんま、ということみたいですね。とりあえず、「悪泊岬」にならなくて良かったのではないでしょうか。

声問(こえとい)

声問は、稚内空港があるあたりの地名です。koy-tuye(コイ・トゥイェ)で「波・切る」という意味になります。


声問のあたりは海岸線が緩やかなカーブを描いているのですが、これは沿岸流が速いことを伺わせます。速い沿岸流は海岸をえぐることもあった筈で、すなわち声問川(の河口)をえぐることもあったことでしょう。「声問川」は「波によって切られた川」と考えることができそうです。

稚内(わっかない)

「ワッカナイ」は、yam-wakka-nay の「ヤム」が略されて wakka-nay と呼ばれるようになった、とされます。「ヤム・ワッカ・ナイ」で「冷たい・水・川」という意味です。「ヤム」は「病む」に通じるので和人に忌み嫌われたのかも知れませんね。

さて、稚内市内の地図を見てみると、「ウエンナイ川」「エノシコマナイ川」「クサンル川」といった川の名が見えますが、肝心の「ヤムワッカナイ川」は見当たりません。山田秀三さんの「北海道の地名」(草風館)によると、「だいたい港1丁目の辺だったらしい」と書かれています。今は「稚内副港市場」という複合商業施設?があるあたりが「港1丁目」にあたります。


あ、「ヤムワッカナイ」がありました(←)。なぁんだ、現存地名だったんですね。

前の記事次の記事

www.bojan.net
Copyright © 1995- Bojan International

0 件のコメント:

最近の記事

    スポンサーリンク