2014年12月13日土曜日

次の投稿 › ‹  前の投稿

アイヌ語地名の傾向と対策 (237) 「カスシナイ川・エトワニワッカナイ川・エンユオロビリ川」

 


やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)

カスシナイ川

国道 244 号線の根北峠から見て、北東に「瑠辺斯岳」(るべす──)という山があるのですが、その瑠辺斯岳の東側を流れる川の名前です(忠類川の支流)。明治期の地図にも「カスシナイ」とあります。

素直に考えると kas-us-nay で「仮小屋・多くある・沢」なのですが、あるいは kas-u-us-nay で「渡渉する・いつもする・沢」かもしれません(「仮小屋」の kas の場合、un で受ける場合が多いので)。

エトワニワッカナイ川

根北峠の南側を流れる川の名前です(忠類川の支流)。残念ながら、手元で確認できた古い地図には見当たりません。

この「エトワニワッカナイ」という表記が「正しい」と仮定して考えてみると、etu-wa-an-i-wakka-nay で「鼻・に・ある・もの・水・沢」という解が考えられそうです。「もの・水・沢」というのが少々意味不明ですが、あるいは「エトワンワッカナイ」だったのかもしれません。

wakka も無くても意味は通りますが、あるいは清冽な水が採れるところだったのでしょうか。

ただ、ちょっと気になるのが、さらに西側(上流側)に「パンケニワナイ川」という川があるのですね。「パンケ」は川下の意味ですから、エトワニワッカナイ川とコンビを組んでいるわけでは無いのですが、何となく文字が似通っているのが気になります。

「パンケニワナイ」も意味不明なのですが、panke-iwaw-nay で「川下・硫黄・沢」かな? と思ったりもします。あるいは「ニ」の音に拘るならば panke-ni-un-nay あたりでしょうか。これだと「川下・木・ある・沢」となりますが、ni-un-nay が「ニワナイ」に訛ったと考えるのも、少々力業が必要ですね(転記ミス?)。

「パンケニワナイ」という川の名前から、「エトワニワッカナイ」も iwaw 絡みだった可能性があるかな? と考えたのですが、etu(-an)-iwaw-wakka-nay だと「鼻・ある・硫黄・水・沢」となりそうです(その際には「エトニワワッカナイ」の音韻転倒があったと考えるべきかもしれません)。ただ、iwaw-wakka という表記を今まで見たことがないので、これもちょっと苦しいかな、と思います。

エンユオロビリ川

パンケニワナイ川の近くで忠類川と合流している支流の名前です(但し、パンケニワナイ川が北西から南東に流れているのに対して、エンユオロビリ川は南東から北西に流れています。

これも意味がわからなくて閉口していたのですが、転記ミスがあったと考えれば解釈できることに気がつきました。「エンユ」ではなく「エンコ」ではないか、という考え方です。

「エンユ」が「エンコ」の誤記だとすれば、emko-oro-piri で「水源・ところ・陰」と解釈できます。pir を「傷」と解釈すれば「水源・ところ・傷」となりますね。深くえぐられた沢のことを「傷」と解した例があるようです。

前の記事次の記事

www.bojan.net
Copyright © 1995- Bojan International

0 件のコメント:

最近の記事

    スポンサーリンク