2019年12月7日土曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (683) 「エアルシナイノ沢川・ヌプオマナイノ沢川・ウエウシュッピナイの沢川・ハツリュウの沢川」

 

やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)

地図をクリックしたら地理院地図に飛べたりします。

エアルシナイノ沢川

e-or-us-i??
頭・水・ついている・もの
e-ar-us-nay???
頭(水源)・向こう側・そこにある・川

(?? = 典拠なし、類型あり)(??? = 典拠なし、類型未確認)

物満内川の南支流(東支流)の名前です。このあたりの支流の中ではとても流れが直線的なのが特徴でしょうか。物満内川の支流については(手元の資料には)物証が乏しいもので、今回も類型から想定するしかなさそうです。

上川郡は東川町、忠別ダムの北に「江卸山」という山があります。山田秀三さんの「北海道の地名」によると e-or-ush-i で「頭が・水に・ついている・もの」ではないかとのこと(ush = us です)。

改めて地形を見てみると、エアルシナイノ沢川の西側にひどく尖った山があり、それを「頭が水についているもの」と呼んだとしても不思議は無さそうに思えてきました。

もう一つ考えたのが、エアルシナイノ沢川の水源がやや東側に入り込んでいることから、e-ar-us-nay で「頭(水源)・向こう側・そこにある・川」ではないかなぁ……というものです。個人的にはこっちをプッシュしたいところですが、類型があるかと言われると少々弱いのも事実です。

檜山に「安野呂川」という川があり、これは an-rur で「反対側の・海」ではないかと言われています(anar から音韻変化したものなので同じ意味です)。もしかしたら an-rurar-us だったんじゃないかと考えてみたのでうが、……ちょっと無理がありましたね(汗)。

ヌプオマナイノ沢川

nup-oma-nay?
野原・そこに入る・川

(? = 典拠なし、類型多数)

物満内川を更に遡ったところで合流している西支流の名前です。これは典型的なアイヌ語地名のように思えます。nup-oma-nay で「野原・そこに入る・川」だと考えられますが、実際に「ヌプオマナイノ沢川」が流れるあたりは他の支流と比べて平地が多いように見えます。

ウエウシュッピナイの沢川

{wen(-sir)}-us-pin-nay??
{水際の断崖絶壁}・ついている・谷・川

(?? = 典拠なし、類型あり)

物満内川の西支流で、ヌプオマナイノ沢川の南側を流れています(厳密には「砂金の沢川」が流れていて、更にその南側を「ウエウシュッピナイの沢川」が流れています)。今ごろ気づいたんですが、「──ノ沢川」ではなくて「──の沢川」なんですね。

「ウエウシュッピナイ」を素直に読み解くと wen-us-pin-nay で「悪い・ある・谷・川」あたりかなぁと思いますが、wen-us という表現には違和感が残ります。wen- のあとの何かが略されたとするのが自然で、土地柄を考えると wey-sir(水際の断崖絶壁)だったのでは無いでしょうか。

というわけで、{wen(-sir)}-us-pin-nay で「{水際の断崖絶壁}・ついている・谷・川」あたりかなぁ、と考えてみました。

ハツリュウの沢川

hachir-us-nay???
落ちる・いつもする・川

(??? = 典拠なし、類型未確認)

物満内川の西支流で、「ウエウシュッピナイの沢川」の南側を流れています。この川も「──の沢川」なんですね。

「ハツリュウの沢川」という名前が果たしてアイヌ語に由来するのかどうかは、やや疑わしい感じもします。もしかしたら「初竜」という芸者さんがブイブイ言わせていてこのあたりの山を与えられた……という可能性も普通にありそうな気もしますが、仮にアイヌ語に由来するとしたら……ということで。

「ハツ」と言えば女風呂……ではなくて(ぉぃ)、hat で「山ぶどう」という語彙があります。そう言えばモスバーガーの「山ぶどうスカッシュ」がお気に入りだったのですが、いつの間にか無くなってしまいましたね。

モスバーガーに思いを馳せるのも程々にして「ハツリュウの沢川」の話題に戻りますが、きっと「山ぶどう」は関係なくて、hachir で「ころぶ」あるいは「落ちる」に由来するんじゃないかな、と考えてみました。hachir-us-nay で「落ちる・いつもする・川」あたりだったのでは無いでしょうか。

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