2019年12月6日金曜日

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夏の焼尻・天売・道北の旅 2015 (151)「探訪・北海道博物館(日の本・唐子・渡党編)」

 

「北海道博物館」の総合展示室の話題を続けます。樺太からやってきた人びとは「オホーツク文化」と呼ばれる独自の文化を育みましたが、数世紀の後に本州系の「擦文文化」と交わり、やがて発展的解消を遂げることになります。


「トビニタイ土器」は「オホーツク式土器」と「擦文土器」の特徴を持ち合わせたもので、羅臼町飛仁帯(とびにたい)で初めて発見されたものである……という理解で良かったでしょうか。「トビニタイ」はおそらくアイヌ語由来の地名で、{tope-ni}-tay で「{イタヤカエデの木}・林」と考えられそうですね。


「アイヌの習俗」の中でも最も有名なものに「イオマンテ」がありますが、実は熊崇拝はオホーツク文化から移入した……という説もあるのだとか。

蝦夷地にはアイヌが住んでいて、本州からやってきた和人に軒を貸したら母屋を取られた……という見方も間違いではないと思いますが、蝦夷地(北海道)は樺太や千島とも密接な繋がりがあった、という点もしっかりと押さえておく必要がありそうですね。

蝦夷地のころ

「人類の時代へ」「北海道独自の文化へ」の次は「蝦夷地のころ」と題された展示です。


「蝦夷とは」「アイヌ文化とは」「アイヌ民族とは」という問いに対する答えが簡潔に記されていました。このあたりも正しく理解しておきたいですね。


14 世紀の「諏訪大明神絵詞」には、「えぞがちしま」と呼ばれる 333 の島に「日の本・唐子・渡党」と呼ばれた人たちが住んでいる……と描かれているとのこと。「日の本」と「唐子」がアイヌ民族で、「渡党」が和人だと考えられているそうですが、アイヌが「日の本」と「唐子」という二つの集団として認識されていたのであれば、とても興味深い話です。


ここまでの流れだと、蝦夷地(北海道)は南北から侵略されてばかり……のように思えますが、必ずしもそういった訳ではなく、蝦夷地(北海道)から「アイヌ」が樺太(サハリン)に進出したという記録も(中国の歴史書に)残されています。中国は「東夷」の情勢のみならず「北狄」の情勢もちゃんと把握していた、と言えそうですね。


改めて「エミシ」と「エゾ」と「アイヌ民族」について、歴史書に基づいた解釈がまとめられていました。「エミシ」も「エゾ」も大和朝廷からしてみれば「まつろわぬ民」であり、どちらも「蝦夷」と記されることからどうしても同一視されがちですが、「エミシ」と「エゾ」の連続性については疑義も多い……と考えています。



志苔大甕と古銭

蝦夷地(北海道)が本州のみならず、大陸との交易も盛んに行っていたことを示す証拠品が 1968 年に函館市志海苔で発見されていました。14 世紀後半ごろの「越前焼」と「珠洲焼」の甕の中には約 37 万枚もの古銭が入っていて、そして古銭の大半が「北宋銭」だったとのこと。


14 世紀後半というと室町時代で、ちょうど三代将軍義満が日明貿易を進めた頃ですが、「北宋」が首都を失陥して南遷したのが 1127 年のことですから、義満の時代からは 200 年以上遡ることになりそうですね。

信広の野望

そして 15 世紀後半に入ると、アイヌと和人の間の軋轢が具現化します。アイヌと和人の戦いと言えばまずはシャクシャインを思い浮かべる方も多いと思いますが、シャクシャインの戦いの 200 年以上前に「コシャマインの戦い」が発生していました。


「コシャマインの戦い」のあとは、なんと蝦夷地(北海道)でもアイヌと和人の抗争が 1 世紀にわたって続くことになります。「応仁の乱」の発生が 1467 年で、そこから 1590 年に後北条氏が滅亡するまでの間が「戦国時代」と呼ばれていますが、コシャマインの戦いが 1457 年で、そこから 1 世紀の間戦乱が続いたとなると、時期的にも大差ないんですよね。


本州では「下剋上の嵐」が吹き荒れていた時代に、道南ではアイヌとの抗争を勝ち抜いた蠣崎氏(「信長の野望」にも出てきますよね)が勢力を拡大し、最終的に「松前藩」が成立することとなります。

アイヌ民族から和人への交易品

今では農作物の一大生産拠点となった感のある北海道ですが、その起こりは交易の地としてでした。本州と樺太・大陸、そして千島との結節点としての地の利を生かして、様々なものが「交易品」となりました。


「干し魚」なんかは日持ちが良さそうなので、交易に供されたとしても何ら不思議はありません(「鮭とば」美味しいですよね)。


また「熊の毛皮」が交易品として珍重されたというのは想像の範囲内ですが、他にも「ラッコの皮」なども流通していたとのこと。また想像を絶する交易品としては「食用のタンチョウヅル」などもあったとのこと……(汗)



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