2018年1月14日日曜日

次の投稿 › ‹  前の投稿

北海道のアイヌ語地名 (500) 「パンケ川・弁景・蟠渓・オロフレ山」

 

やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)

パンケ川

panke-pet
川下側・川
(典拠あり、類型あり)
久保内の南東に二本の川が併流していますが、西側(長流川の川下側)を流れる川の名前が「パンケ川」です。

永田地名解には次のように記されていました。

Panke pet  パンケ ペッ  下川
永田方正北海道蝦夷語地名解」国書刊行会 p.187 より引用)
まぁ、普通はこう解釈するしか無いですよね(汗)。panke-pet で「川下側・川」と考えられそうです。というか、他に解釈の仕様がありませんね(汗)。

なお、「東西蝦夷山川地理取調図」には「ハンケナイ」と記されていました。「レリコマナイ」と同様に、「ナイ」がいつの間にか「ペッ」に化けてしまったようです。

弁景(べんけい)

penke-pet
川上側・川
(典拠あり、類型あり)
パンケ川の東隣を「弁景川」が流れています。「弁景」は弁景川を少し遡ったところの地名で、「弁景温泉」や「オロフレスキー場」などがあります。何なんでしょう、この「パンケ川」との格差は……(汗)。

永田地名解にはt(ry

Penke pet  ペンケ ペッ  上川
(永田方正「北海道蝦夷語地名解」国書刊行会 p.187 より引用)
まぁ、普通はこう解釈するしか無いですよね(汗)。penke-pet で「川上側・川」と考えられそうです。というか、他にk(ry

もちろん(?)「東西蝦夷山川地理取調図」には「ヘンケナイ」とあるところまで全く同じです。

蟠渓(ばんけい)

panke-yu
川上側・温泉
(典拠あり、類型あり)
そろそろお叱りを受けそうな気もしていますが、怯まずに続けます(ぉぃ)。「蟠渓」は壮瞥町東部の地名で、国鉄胆振線に同名の駅がありました。ということで、「北海道駅名の起源」行ってみましょうか。

  蟠 渓(ばんけい)
所在地 (胆振国) 有珠郡壮瞥町
開 駅 昭和 15 年 12 月 15 日(胆振縦貫鉄道)(客)
起 源 アイヌ語の「パンケ・ペッ」(下の川) から出たもので、「パンケ」の音に「蟠渓」の字をあてたものである。
(「北海道駅名の起源(昭和48年版)」日本国有鉄道北海道総局 p.78 より引用)
まぁ、普通はこう解釈するしか無いですよね(汗)。panke-pet で「川下側・川」と考えられそうです。というk(ry

永田t(ry

Panke yū  パンケ ユー  下ノ湯 溫泉アリ
(永田方正「北海道蝦夷語地名解」国書刊行会 p.188 より引用)
おおっ、わずかながらバリエーションがっ! panke-yu で「川上側・温泉」ではないかと言う説ですね?

通常、pankepenke が対になっているのは先程の panke-naypenke-nay の例でもご理解いただけていると思いますが、この panke-yupenke-yu についても同様でした。penke-yu 即ち「上の湯」は「北湯沢温泉」のことを指していたと思われます。

ちなみに、「東西蝦夷山川地理取調図」には「温泉」と記されていました。ド直球ですね……(汗)。

オロフレ山

oro-hure-pet?
その中・赤い・川
(? = 典拠あるが疑問点あり、類型あり)
蟠渓の温泉街の南側あたりで長流川に合流する「白水川」という川があるのですが、「東西蝦夷山川地理取調図」や丁巳日誌「於沙流辺津日誌」には、この川が「ホロフウレベツ」と記されています。この「ホロフウレベツ」が「オロフレベツ」に変化して、「オロフレ」という名前が峠や山の名前に借用された……という流れのようです。

oro-hure-pet であれば「その中・赤い・川」となりますね。「ホロフウレベツ」という音からは poro-hure-pet の可能性も排除できないように思えるのですが、それだと「大きな・赤い・川」となりますね。

ちなみに、この「オロフレベツ」こと「白水川」ですが、山田秀三さんの「北海道の地名」には次のように記されていました。

言葉はその通りであるのだが,現在その川尻で見ると,ちっとも赤くない。むしろ白っぽい水で,今の白水川の方が当たっているのであった。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.407 より引用)
はてさて、これはどう考えたものでしょうね。ちょっと話を脱線させますと、「オロフレスキー場」のある弁景川(ややこしい)から更に遡ったところに「黄渓」という地名がありました。そこには鉱山があり、硫黄などを採取していたのだそうです(「黄渓」という地名は「硫黄」に由来するとのこと)。

脱線した割にはオチは無いんですが(すいません)、赤だったり黄色だったり白だったりカラフルだなー……などと(ぉぃ)。「オロフレ」の赤は、上流に褐鉄鉱などを産する場所があったのか、あるいは赤土が崩落するような場所があったのか、そんなところだったのかなぁ、と思ったりもします。白っぽくなってしまったのは、やはり硫黄などの影響かもしれませんね。

前の記事続きを読む

www.bojan.net
Copyright © 1995- Bojan International

0 件のコメント:

新着記事