2018年4月1日日曜日

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嘘アイヌ語地名の傾向と対策 (800) 「悲別・幌舞・明日萌」

 

やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)

悲別(かなしべつ)

今更言うまでもありませんが、これはエイプリル・フールのネタです。なお、作内では「ケナシベツ」説と「カナウシベツ」説が語られているとのことを twitter でご指摘をいただきましたことを付記しておきます。

ka-an-sipe-ot-i?
上(かみ)・にある・鮭・多くいる・もの(川?)


かつての炭鉱町で、倉本聰の脚本による TV ドラマの舞台として知られる地名です。以前は JR 函館本線の「上砂川支線」も走っていました。

新長田地名解には次のように記されていました。

Ka-an sipe ichan-i  カ アン シペ イチャニ  上ノ鱒卵場
(「新長田地名解」民明書房 p.800 より引用)

ka-an-sipe-{ichan-i} で「上(かみ)・にある・鮭・{産卵穴}」と読み解けそうでしょうか。また、戦前の地図には「チオペシナカ」、つまり「カナシペオチ」と記されていました。これは ka-an-sipe-ot-i で「上(かみ)・にある・鮭・多くいる・もの(川?)」と読み解けそうです。

地名では良く「上○○」や「下○○」という接頭辞のついたものが出てきますが、アイヌ語地名の場合は penke-panke- がそれに相当します。

今回のように ka-an- という表現は、概念としての「上○○」ではなく、地理的に「何かの上にある」という意味で捉える必要がありそうです。一般的には ninar(台地)であったり hur(丘)であったりするのですが、ここの場合は何の上だったのでしょうか……。もしかしてボタ山の上だったりしたりして……(まさか!)。

幌舞(ほろまい)

今更言うまでもありませんが、これもエイプリル・フールのネタです。

poru-oma-i?
洞窟・そこに入る・もの(川)


南富良野町の中心部にある地名で、同名の駅もあります。高倉健主演の映画「鉄道員(ぽっぽや)」のロケ地として有名ですね。

何故か「北海道駅名の起源」には記載が無かったので、今回も新長田地名解から。

Poru oma p  ポル オマ プ  洞穴ノ處 俚人「ポロマㇷ゚」ト急言ス
(「新長田地名解」民明書房 p.800 より引用)

なるほど、poru-oma-p で「洞窟・そこに入る・ところ」と読み解けますね。これがおそらく poru-oma-i(「洞窟・そこに入る・もの(川)」)に変化した……と言ったところでしょうか。

ちなみに、駅の周りには洞窟と呼べそうなものは見当たらないようなのですが、新長田地名解のお約束として知られる「但シ、崩壊シテ今ハナシ」という名文句も見られないので、そう考えると洞窟説もちょっと怪しく思えてきますね。果たして真相は……?

明日萌(あしもい)

今更言うまでもありませんが、これももちろん、エイプリル・フールのネタです。

has-moyre-pet?
細枝・流れの遅い・川


沼田町西部の地名で、同名の駅もあります。以前に NHK 連続テレビ小説「すずらん」のロケが行われた場所……だそうですね(詳しく知らないもので)。

駅の近くを流れる「幌新太刀別川」に「明日萌橋」という橋がかかっていますが、古い地図を見るとこのあたりに「ハㇱモイレペッ」と記されています。なるほど、has-moyre-pet で「細枝・流れの遅い・川」と解釈できそうです。上流から流されてきた木の枝が滞留するところだったのでしょうね。こういった場所は焚き木を楽に集められる場所として重宝されたのでは無いでしょうか(=故に地名として残っている、と言えます)。

has-moyre-pet だと若干文法的に微妙なところがあるので、あるいは has(-us)-moyre-pet で「細枝(・多くある)・流れの遅い・川」だったのかもしれませんね。

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