2021年2月21日日曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (809) 「イチャンナイ川・稲宇仁ノ沢川」

 

やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
地図をクリックしたら地理院地図に飛べたりします。

イチャンナイ川

ichan-un-nay
サケマスの産卵穴・ある・川
(典拠あり、類型あり)
「牛朱別川」の南支流に「ポン牛朱別川」という川があるのですが、イチャンナイ川は「ポン牛朱別川」の南支流に相当します。ただ不思議なことに、明治時代の地形図には、現在の「イチャンナイ川」に相当する川には「ヌプリイプリアンペツ」と描かれていて、「黒岩山」のほぼ北に位置するあたりに「イチャンウンナイ」という川が描かれているように見えます(この「イチャンウンナイ」は「ポン牛朱別川」ではなく「牛朱別川」の支流です)。

「ヌプリイプリアンペツ」は nupuri-ipunip-an-pet で「山・氷でせき止められた水・ある・川」あたりでしょうか。「イチャンウンナイ」は山田秀三さんが「倉沼川」と誤認した「クオナイ」の東隣の川として描かれています。

これもどうやら川の名前の取り違えがあったと思われるのですが、よく見ると「ポン牛朱別川」自体も「ルウプ子マップイセ」という、全く違う名前で描かれていました。「ルウプ子」は rupne で「大きくある」と考えられ、また「プイセ」は puyse で「煙る、濡れる」あたりかなと思われますが、「マッ」がうまく繋がらないですね……。

rupne-mat-puyse で「大人の・女・濡れる」と読めるので、大人の女性が川に転落したとか、そんな故事?があったのかもしれません。

「イチャンウンナイ」自体の意味については、疑問の余地はほぼありません。知里さんの「上川郡アイヌ語地名解」には次のように記されていました。

 イチャヌンナイ(Ichan-un-nai「鮭鱒の産卵場・ある・沢」)
(知里真志保「知里真志保著作集 3『上川郡アイヌ語地名解』」平凡社 p.330 より引用)
やはり ichan-un-nay で「サケマスの産卵穴・ある・川」と考えて良さそうですね。途中の -un が省かれるのも良くある話です。

稲宇仁ノ沢川(いなうにのさわ──)

inaw-ni-us-pet
木幣・木・多くある・川
(典拠あり、類型あり)
牛朱別川の南支流に「石渡川」という川があるのですが、「稲宇仁ノ沢川」は「石渡川」の南支流に当たります。石渡川には「松ノ沢川」「稲宇仁ノ沢川」「相ノ沢川」「森ノ沢」「秋山沢」など多くの南支流がありますが、明治時代の地形図に川名が描かれているのは、現在の「稲宇仁ノ沢川」に相当する位置に「イナウニウシュペツ」とあるのみです。

知里さんの「上川郡アイヌ語地名解」には次のように記されていました。

 イナウニウシペツ(Inau-ni-ush-pet「幣・木・群生する・川」)
(知里真志保「知里真志保著作集 3『上川郡アイヌ語地名解』」平凡社 p.330 より引用)
ふむふむ。inaw-ni-us-pet で「木幣・木・多くある・川」と考えて良さそうな感じですね。

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