2010年2月19日金曜日

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Bojan のホテル探訪~「山の上ホテル」編(第 3 回)

 

山の上ホテルには「本館」と「別館」がある……ということに、現地に到着してようやく気がつきました。何となく「別館だよなぁ」と思いながらも、予約メールには「山の上ホテル」としか書かれていなかったので、とりあえず本館のフロントに向かいました。

別館のような気はしたんだけどなぁ

フロントでは「もしかしたら本館じゃ無いかもしれませんが」と前置きしつつ、名前を告げました。係の人は「宿泊者カード」の記入を促した後、予約状況を確認し、すぐに内線で話を始めました。やはり「本館」ではなく「別館」だったんだな、と察したので、カードに記入する手を止めて反応を待ちます。

「別館でのご予約でいらっしゃるようです」と告げながらも、書きかけの宿泊者カードには「このままご記入いただけますか」とのこと。宿泊者カードを書く前から、右ななめ後ろに人の気配を感じていたのですが、どうやらドアボーイのお兄さんが待機していた由。フロントの係の人は「別館でのチェックインとなりますので、お手数ですが道路の向う側に渡っていただきまして……」と説明しつつ、ドアボーイのお兄さんに宿泊者カードを渡します。別館を予約した客が、間違えて本館のフロントに足を運ぶケースには慣れているようです。

まさかの展開

別館のフロントではさらなる驚きが待っていました。「○○様でいらっしゃいますね? ただ、ご予約は明日の御一泊で伺っているようなのですが……

うっひゃー……。まさかのブッキングミスです。ここ数年、あちこちのホテルで年間 20 泊以上は間違いなくキープしている筈の私ですが、完全なブッキングミスはおそらくこれが初めてです。一瞬、頭の中が真っ白になりかかるも、平静を装いながら「今日は大丈夫でしょうか?」と聞いてみたところ、「大丈夫でございます」と心強いひとことが。

「では、本日から御一泊ということですので、明日の予約はキャンセルということで宜しいでしょうか?」
はい……(立場なし)。
「それでは……こちらのお部屋へどうぞ」

あれ……? 確か予約を入れた際には、「チェックインの際に、お預かり金またはクレジットカードの御提示を頂戴いたします」と書いてあったのに、特に確認は求められませんでしたね……。代金を踏み倒すような悪人には見えなかったということでしょうか。いやぁ、照れちゃうなぁ(笑)(←

あり得ない会話

もちろん、客室にはベルボーイのお兄さんに荷物を運んでもらえます。エレベーターの中では……

「お部屋が空いていて良かったですね」
いやぁー、宿泊日を完全に間違えたのは今回が初めてで……

といった会話が交わされたのでした。「ん……?」と思われた方は「言葉の嗅覚」が鋭い方でしょう。そう、「良かったですね」なんです。普通のホテルでは滅多に聞けない言い回しです。少なくとも、ホテル従業員と宿泊客の間ではめったに聞けない筈です。普通はもっと、敬語と謙譲語のジャーマンスープレックスのような(どんなだ)日本語が出てくる筈なのですね。例えば「本日はお客様にお部屋をご用意できて何よりでした」といった風に。

もしかしたら、「良かったですね」というのは、ホテルマンとしては「失言」なのかも知れません。しかしながら、「従業員」と「客」との会話ではなく、「人」と「人」との会話なのであれば、これほど適切な会話は無いわけです。恩着せがましいわけでも馴れ馴れしいわけでもなく、純粋にお間抜けなミスをやらかした一人の人(=私)が希望通りの宿にありつけたこと、この事実を純粋に喜んでくれている、とするのであれば。

実際の所は、単なる失言である可能性もゼロではないのですけどね。でも、何気ない一言にも「客人へのおもいやり」があるかのように錯覚させてしまう、というだけでも、もの凄いことなのだと思ってしまいます。

息を呑む

案内された部屋はこちら。
思わず息を呑んだことをここに白状します。いや、今まで他のホテルでも似たような雰囲気の部屋に案内されたこともありましたし、おそらくはもっと豪華な部屋にも泊まったことがある筈なんですね。ですからそれなりには免疫がついている筈なのですが……(← ヤな奴)。改めて写真で見てみると、別にふつーのちょっと小じゃれた部屋、なんですけどね。

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