2019年4月20日土曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (624) 「カリカンの沢川・多寒別沢川・奔別」

 

やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)

地図をクリックしたら地理院地図に飛べたりします。

カリカンの沢川

kar-kan-nay
回る・回る・川


幾春別川の北支流で、三笠市東清住町のあたりを流れています。地図によっては「カリンカ沢川」と記されている場合もありますが、地理院地図では「カリカンの沢川」とされています。

この川は、名前のみならず場所にも疑義があり、昔の地形図では現在の「弥生盤の沢川」の下流部分に相当する川に「カリカン沢」と記されていました(これは「カリンカ──」ではなく「カリカン──」を正とした理由でもあります)。

もっとも、昔の地形図では「カリカン沢」の西隣に「ポロランニソオマナイ」(?)という川が記されていますが、実際には現在の「弥生盤の沢川」のように途中で合流した後に幾春別川に注いでいるので、「ポロランニソオマナイ」に相当する川は存在しません。当時の地形図の信頼性はこの程度だと考えるべきなのでしょう。

ということで、仮に「カリカンの沢川」が現在の「弥生盤の沢川」の下流部だったとするならば……ですが、kar-kan-nay で「回る・回る・川」だったと考えられそうです。karkan ですが、本来の形は kar で、kan は後ろに nay が来たことによって音韻変化が生じたもの、です。

なぜ「弥生盤の沢川」にこだわったのかと言うと、地形図を見ると良くわかるのですが、この川の下流部が割と細かく曲がっているから……です。現在「カリカンの沢川」とされている川は、「回る・回る・川」と言えるほど曲がっていないように思えるので、たぶん違うのだろうなぁ……と思っています。

多寒別沢川(たかんべつ──?)

tak-an-pet
ごろた石・ある・川


幾春別川は、かつて幌内線の弥生駅のあったあたり(現在の弥生花園町あたり?)で大きく蛇行していますが、蛇行の頂点あたりで南から「多寒別沢川」が合流しています。「幾春別」の支流の「多寒別」というのもなかなか風流な感じがしますね。

「幾春別」と同様に「多寒別」もアイヌ語に由来すると仮定しての話ですが、tak-an-pet で「ごろた石・ある・川」と読めそうな気がします。

奔別(ぽんべつ)

pon-pet
子である・川


「奔別川」は幾春別川の北支流で、幾春別川の支流の中では流域・流長ともに最大のものです。地名としても「奔別町」や「奔別新町」が存在します。

山田秀三さんの「北海道の地名」には、次のように記されていました。

奔別はアイヌ語のポン・ペッ(pon-pet 小さい・川)から来た名。ただし小さい川とはいうが,行って見ると相当な川である。川名のポロ,ポン(大,小)は近隣の川との比較で呼ばれたものらしい。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.44 より引用)

そうですね。pon-pet なのは間違いないのですが、この「奔別」も「奔幌内」と同様に、pon は「子である」と考えたほうが適切であるように思えます。pon-pet で「子である・川」、すなわち「支流」と考えれば良さそうです。

山田さんは「近隣の川との比較で」と記していますが、実情は本流の「幾春別川」と支流の「奔別川」が絶対的な規模で、他の支流は「その他大勢」という認識だったのでしょうね。他の支流が比較対象とならない以上、「小さい・川」という解釈は誤解を招くとも言えそうです。

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