(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
ペペシェル川
pe-pe-{si-hur}?
水・水・{大きな・丘}
水・水・{大きな・丘}
(? = 旧地図等に記載あり、独自説、類型あり)
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
占冠村静岡の北で「ペンケシュル川」に西から合流する支流で、国道 237 号は「十軒橋」でこの川を横断しています。現在の川名は「ペペシ
「シュル」は「パンケシュル」のことでしょう。いくつかの説があるようですが、si-hur で「大きな・丘」ではないかと考えています。問題は「ペペ」ですが……『北海道地名誌』(1975) には次のように記されていました。
ベベシュル川 パンケシュル川の右支流。アイヌ語でベベシュルの意味不明。
(NHK 北海道本部・編『北海道地名誌』北海教育評論社 p.347 より引用)※ 原文ママ
この「ベベ」あるいは「ペペ」ですが、素直に解釈すると pe-pe-{si-hur} で「水・水・{大きな・丘}」あたりでしょうか。「水の多い(ペンケ)シュル川(の支流)」と言ったニュアンスかなぁと思われるのですが、「ペペシェル川」は「パンケシュル川」の支流の中ではもっとも流域面積が広そうにも見えるので、他の支流と比べて水量が豊富だった……ということかもしれません。ペンケシュル川
penke-si-hur??
川上側・大きな・丘
川上側・大きな・丘
(?? = 旧地図等に記載あり、独自説、類型未確認)
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
JR 石勝線の「東占冠信号場」の北で鵡川に合流する支流です。この川名については「パンケシュル川」の項であらかた記しているので、詳細は当該記事をご覧ください。この川の河口部には四角い扇状地(?)のような地形が広がっているので、このことから penke-si-hur で「川上側・大きな・丘」だったのではないかと考えています。
イタコマンベツ川
etu-oma-pet?
鼻(岬)・そこにある・川
鼻(岬)・そこにある・川
(? = 旧地図等に記載あり、独自説、類型あり)
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
「ペンケシュル川」の北東、JR 石勝線の「滝ノ沢信号場」の西で鵡川に合流する支流です。『北海道実測切図』(1895 頃) には「イタオマペッ」と描かれています。ita は「板」や「床板」、「お盆」や「ちゃぶ台」などを意味する語で、和語の「板」からの移入語彙のように思えます。
地名における ita は「舟の部材」として認識される傾向がありそうにも思えます。比較的最近だと日高町の「イタラッキ川」とかでしょうか。従って「イタオマペッ」であれば「舟板がある川」みたいな話になりそうですが……だがしかし!(ぉ)
おそらく……ですが、この「イタ」は etu が転訛した可能性が高いと思います。etu-oma-pet で「鼻(岬)・そこにある・川」だったのでは無いでしょうか。あるいは etu-ka-oma-pet で「鼻(岬)・かみて・そこにある・川」と呼ぶ流儀もあったかも知れません。
地形図を見ると一目瞭然ですが、この川の河口の向かい側に巨大な「鼻」があるので、そのことを形容したネーミングだったのでは……。
エタマンベ沢川
e-sa-oman-pes??
頭・前・行く・水際の崖
頭・前・行く・水際の崖
(?? = 旧地図等に記載あり、独自説、類型未確認)
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
道央道の「ホロカトマムトンネル」の西側出口の近くで北から鵡川に合流する支流です。『北海道実測切図』(1895 頃) にはそれらしい川が描かれているものの、川名の記入はありません。「エタマンベ」は etu-oman-pes で「鼻(岬)・行く・水際の崖」と読めたり……するでしょうか。当初は「イタオマペッ」(=イタコマンベツ川)と混同したかとも思ったのですが、川の西側の地形がちょっと印象的に見えたので……。
oman-pes は『地名アイヌ語小辞典』(1956) にも立項されていて、次のようにあります。
oman-pes, -i オまンペㇱ ①【ヒガシシズナイ】浜通りの山;沿岸の山。②《雅》崖をなして長く沖へさし出ているみさき。
(知里真志保『地名アイヌ語小辞典』北海道出版企画センター p.75 より引用)
oman-pes だけで既に「岬」を意味するようにも見えるので、改めて etu を冠する必要が無さそうなのが気になるところです。となると e-sa-oman-pes で「頭・前・行く・水際の崖」あたりでしょうか。これが訛りに訛って「エタマンベ」になったとかかなぁ……という想像です。‹ 前の記事
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