2019年6月22日土曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (640) 「星置・三樽別川」

 

やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)

地図をクリックしたら地理院地図に飛べたりします。

星置(ほしおき)

pes-poki
(水際の)崖・その下


手稲区西部の地名で、同名の駅もあります……が、開業が国鉄末期の 1985 年ということもあり、残念ながら「北海道駅名の起源」には記載がありません。もともとは「ほしみ駅」の近くを流れる「星置川」に由来する地名……なのですね。「星」という字が今風なこともあり見落としていましたが、「星置」もどうやらアイヌ語由来の地名のようです。月に代わって……いやなんでもないです。

「東西蝦夷山川地理取調図」には「ホシホキ」という名前の川が記録されています。また戊午日誌「東西新道誌」にも「ホシホキ」との記録があります。

永田地名解には次のように記されていました。

Sō pok  ソー ポㇰ  瀑下 一名「ホシホキ」ト云フ此瀑ハ日光裏見ノ瀧ト同觀ナリ
永田方正北海道蝦夷語地名解」国書刊行会 p.86 より引用)

確かに、星置川の東支流に「滝の沢川」があり、そこには「乙女ノ滝」という滝があります。「ソーポク」と「ホシホキ」の関係が少々謎ですが、山田秀三さんは次のように推測していました。

ホシポキはどう解すべきか。滝の辺は崖になっているので,pesh-poki(崖の・その下)のような名ででもあったろうか。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.500 より引用)

なるほど、確かに pes-poki で「(水際の)崖・その下」と考えられそうですね。

三樽別川(さんたるべつ──)

san-tararke-pet??
(山から浜へ)出る・でこぼこしている・川


札樽道・手稲 IC の南を流れる川の名前です。もともとは発寒川の支流だったようですが、現在は新川に合流してそのまま海に注いでいます。

札幌市教育委員会編の「札幌地名考」には、次のように記されていました。

名称はアイヌ語の「サンタラッケ」または「サンダロッキヒ」(なわでシカを縛り荷降ろしするところの意)が転訛したものらしいというが、明確ではない。
(札幌市教育委員会・編「札幌地名考」北海道新聞社 p.222 より引用)

この隠しきれない更科さんテイスト……(汗)。そう思って「アイヌ語地名解」を見てみると、確かに次のように記されていました。

 三樽別川(さんたるべつがわ)
 三樽別は昔、札樽間の中継点であった。アイヌ名サンタ・ラッケ、或はサンダロッキヒは、縄で鹿を縛って荷降しするところの転訛というが、明確ではない。
(更科源蔵「更科源蔵アイヌ関係著作集〈6〉アイヌ語地名解」みやま書房 p.104 より引用)

「明確ではない」と締めるあたりがそっくりでした。だったら最初から「アイヌ語地名解」を引いておけばよかったですね(汗)。更科さんは「札幌地名考」では「監修」という肩書で、執筆者には含まれていないのですが、実際にはそれなりに筆を執っていたのかもしれませんね。

閑話休題。「サンタラッケ」であれば、「東西蝦夷山川地理取調図」にも「サンタラツケ」という川が描かれています。「サンダロッキヒ」は永田地名解の以下の記載から出たものでしょうか。

Sandarotkihi  サンダロッキヒ  鹿ヲ下ス處 荷縄ニテ鹿ヲ縛シ卸ス處
(永田方正「北海道蝦夷語地名解」国書刊行会 p.37 より引用)

確かに san は「(魚が)下る」と解釈できますし、tar には「荷縄」という意味があります。rotkihi は……何なんでしょうねぇ。

「縄で鹿を縛って荷降ろしする」というのは流石にちょっと意味不明なので、別の解釈を考えてみたいのですが、san-tararke-pet で「(山から浜へ)出る・でこぼこしている・川」あたりの解釈はできないかなぁ、と。ごろた石の多い、そこそこの急流じゃないかと思うのですが……。

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