(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
ポピポイ
hopi-puye??
捨て去る・あのこぶ山
捨て去る・あのこぶ山
(?? = 旧地図等に記載あり、独自説、類型未確認)
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
平取町荷負から道道 71 号「平取静内線」を東に入ったところに「ポピポイ入口」というバス停がありました。道南バスの Web サイトに「ポピポイ入口」というページがありますが、道南バスの貫気別線は 2022/3/31 で廃止され、現在は平取町がデマンドバスを運行中とのこと。残念なことにデマンドバスには「ポピポイ入口」というバス停の存在を確認できていません。『東西蝦夷山川地理取調図』(1859) にはそれらしい地名が見当たりませんが、『北海道実測切図』(1895 頃) には「ホエポエ」と描かれていました。
陸軍図には「ホビボエ」という地名が描かれていました。現在の荷負の集落、あるいはその東の丘陵を指しているように見えます。
戊午日誌 (1859-1863) 「左留日誌」にはそれらしい記述を見つけられませんでした。
さて、あとはこの地名をどう読み解くかですが、残念なことに類例を思い出せません。ただ「ペテウコピ」(pet-e-u-ko-hopi-i で「川・そこで・互い・に・捨て去る・所」、即ち「二股」)の近くにあるので、「ポピ」あるいは「ホエ」は hopi で「捨て去る」ではないかと考えたいところです。
となるとあとは「ポエ」あるいは「ポイ」をどう考えるかですが、『地名アイヌ語小辞典』(1956) に次のような項目がありました。
puy, -e ぷィ ①穴。=suy. ②【シャリ】頭;岬。③こぶ山。
(知里真志保『地名アイヌ語小辞典』北海道出版企画センター p.103 より引用)
……あ。puy は「穴」だと思っていたのですが、実は「こぶ山」と解する流儀もあったんですね。となると hopi-puye で「捨て去る・あのこぶ山」と考えられそうな気がしてきました。「捨て去るこぶ山」とは何事……という話ですが、これは pet-e-u-ko-hopi-puye では長いのでザクッと省略された……と考えたいところです。平たく言えば「川がそこで互いを捨て去るところのこぶ山」だったのではないでしょうか。
なお、現在は「平取町荷負」ですが、この「荷負」は本来はもう少し東側の一帯の地名だったようです。本来の地名は「ポピポイ」に類したものだったのが、いつの間にか「荷負」に取って代わられたと見られます。
シラカベ川
suma-ka-pet?
岩・上・川
岩・上・川
(? = 旧地図等に記載あり、既存説に疑問あり、類型あり)
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
噂の(?)「ピリカノカオキクルミのチャシ及びムイノカ」の近くを流れる川です。和名かと思っていたのですが、『北海道地名誌』(1975) には次のように記されていました。シラカベツ沢 アイヌ語の「シラㇽカ・ベッ」で岩の上の川の意か。荷負地区。
(NHK 北海道本部・編『北海道地名誌』北海教育評論社 p.557 より引用)
むむっ。これは……。『東西蝦夷山川地理取調図』(1859) にはそれらしい川が見当たらない……と思っていたのですが、『北海道実測切図』(1895 頃) には「シユマカペツ」と描かれていました(!)。戊午日誌 (1859-1863) 「左留日誌」には次のように記されていました。
またしばし過て
シマカベ
右の方小川、此辺平地にしてひろし。其本名はシマカヘツにて、川を上る程広くなると云よりして号しものとかや。
(松浦武四郎・著 秋葉実・解読『戊午東西蝦夷山川地理取調日誌 下』北海道出版企画センター p.15 より引用)
「川を上がるほど広くなる」というのはちょっと謎ですが、「シマカベ」あるいは「シユマカペツ」は suma-ka-pet で「岩・上・川」と見て良いのではないでしょうか。ka と pet の間には -oma- あたりが略された可能性もあるかもしれません。「シ
ポンスケレベ川
pon-sikerpe
小さな・キハダの実
小さな・キハダの実
(旧地図等に記載あり、既存説、類型あり)
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
額平川の北支流で、平取町荷負の東を流れています。地理院地図では「ポンスケレベ川」ですが、国土数値情報では何故か「ポンシケレベ川」とのこと。『東西蝦夷山川地理取調図』(1859) にはそれらしい川名が見当たらないようですが、『北海道実測切図』(1895 頃) には「シケレペ」と描かれていました。
戊午日誌 (1859-1863) 「左留日誌」にも次のように記されていました。
しばし過て
シケレヘ
左りの方平山に沢目有。其名義黄蘗 が多きより号しなりと。
(松浦武四郎・著 秋葉実・解読『戊午東西蝦夷山川地理取調日誌 下』北海道出版企画センター p.15-16 より引用)
sikerpe は「キハダの実」を意味します。そのままでは地名や川名にはならない筈で、本来は -us-i あたりが後ろについていた可能性がありそうです。pon-sikerpe は「小さな・キハダの実」ですが、これは「キハダの実(のなる木が多い川)」が複数存在し、比較的規模の小さい川に pon-(小さな)を冠したと考えられそうです。‹ 前の記事
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