2026年4月25日土曜日

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北海道のアイヌ語地名 (1374) 「コタンケシュワシュナイ沢・長知内・トプシュナイ川」

 

やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)

コタンケシュワシュナイ沢

kotan-kes-kus-nay??
集落・末端・横切る・川
(?? = 旧地図等で未確認、独自説、類型あり)
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
(現在の)平取荷負の北東、長知内橋との間で南東から沙流川に合流する支流……だとされています(国土数値情報による)。地理院地図にはそれらしい川は描かれていません。

戊午日誌 (1859-1863) 「左留日誌」にもそれらしい川の情報は見当たらないようですが、「コタンケシュワシュナイ沢」の東には「古丹山」という四等三角点があり、また西には「上古丹かみこたん」という四等三角点が存在します。

現在の平取町荷負のあたりはかつて「ホビボエ」と呼ばれたところで、最近まで「ポピポイ入口」というバス停がありました。沙流川と額平川の間の段丘上にコタンがあったと見て良さそうにも思えます。

「コタンケシュワシュナイ沢」ですが、kotan-kes は「集落・末端」と見ていいと思われます。問題は「ワシュ」ですが、「ワ」は「ク」の誤字である可能性があるんじゃないかと思います。

もちろん「ワ」が「ウ」の誤字である可能性もあるのですが、「コタンケシュワシュナイ沢」は kotan-kes-kus-nay で「集落・末端・横切る・川」と見ていいのではないかと……。

長知内(おさちない)

o-sat-nay
河口・乾いている・川
(旧地図等に記載あり、既存説、類型あり)
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
(現在の)平取町荷負から国道 237 号を北東に向かうと、「長知内橋」で沙流川を渡って平取町長知内に入ります。『北海道実測切図』(1895 頃) にも漢字で「長知内」と描かれていますが、かつてここに「長知内村」が存在したとのこと(1868~1923)。


戊午日誌 (1859-1863) 「左留日誌」には次のように記されていました。

またしばし過て
     ヲサツナイ
西岸相応の川也。鮭も鱒も鯇も有るよし也。其名義は川すじおり(おり)干るによつて号しとかや。
松浦武四郎・著 秋葉実・解読『戊午東西蝦夷山川地理取調日誌 下』北海道出版企画センター p.52 より引用)※ 原文ママ
ここまでは特に疑問はないのですが……

サツヲナイの転じたりと云り。
(松浦武四郎・著 秋葉実・解読『戊午東西蝦夷山川地理取調日誌 下』北海道出版企画センター p.52 より引用)
これはちょっと「?」ですね。sat は「水のかれている」あるいは「乾いている」を意味する完動詞で、それを -o で承けるというのは奇妙な感じがします。

永田地名解 (1891) には次のように記されていました。

Osachi   オサチ   乾燥ノ川尻
永田方正北海道蝦夷語地名解』国書刊行会 p.230 より引用)
現在の川名は「オサツナイ沢川」ですが、素直に o-sat-nay で「河口・乾いている・川」と見て良いのでしょうね。河口付近で水が伏流することが多かった、と言ったところでしょうか。この「オサツナイ」に「長知内」という字が当てられて現在に至る……ということなのだと思います。

トプシュナイ川

top-us-nay?
竹・多くある・川
(? = 旧地図等に記載あるが位置に疑問あり、既存説、類型あり)
(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)
国道 237 号の「長知内橋」の上流側(東側)で南東から沙流川に合流する支流です。この川名は国土数値情報によるもので、地理院地図には川として描かれていません。

北海道実測切図』(1895 頃) には似た位置に「ピラパクシナイ」と描かれていて、「トプシュナイ川」に近い名前の川は見当たりません。


東西蝦夷山川地理取調図』(1859) には「ハンケトフシナイ」と「ヘンケトフシナイ」という川が描かれていました。


戊午日誌 (1859-1863) 「左留日誌」には次のように記されていました。

また少し上
     バンケトフシナイ
     ベンケトフシナイ
等東岸小川二すじ並びて有。其名義は小笹の有沢と云儀のよし也。
(松浦武四郎・著 秋葉実・解読『戊午東西蝦夷山川地理取調日誌 下』北海道出版企画センター p.55 より引用)
どうやら top-us-nay で「竹・多くある・川」と見て良さそうな感じですね。

なお南西(沙流川の川下側)に「トツホヲツナイ」という川も記録していますが、この川名は「二匹のアメマス」を意味するとのこと。いかにも説話くさい解で「本当かなぁ~」と思わせるものですが、音が似ているのでちょっと気になるところです。

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