2018年6月16日土曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (542) 「千代田・オシタップ川・フンベ山」

 

やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)

千代田(ちよだ)

chi-e-ota
我ら・食する・砂浜


アイヌ語由来の地名は、やたらと末尾に「別」とか「内」とか「尻」とかがついていたり、そうでなくても意味のよくわからない字の組み合わせが多いですが、時折、見事に和名に擬態?したかのような地名もあるので油断ができません(逆もまた然りなのですけどね)。

池田町利別の西側に位置する「千代田」も、一見とてもアイヌ語由来とは思えないのですが……かつては「蝶多村」という名前の村だったそうです。いきなりアイヌ語由来っぽい雰囲気が醸し出されてきたのは流石と言うべきでしょうか。

永田地名解には次のように記されていました。

Chie ota  チエ オタ  食濱 吾人飲食シタル沙場ノ義ナリト云フ○蝶多(テウタ)村
永田方正北海道蝦夷語地名解」国書刊行会 p.308 より引用)

chi-e-ota で「我ら・食する・砂浜」と考えたようですね。この解釈について更科源蔵さんは「アイヌ語地名解」にて

たしかにチ・エ・オタは吾々の食べる砂浜となるが、多少疑問がのこる。
(更科源蔵「更科源蔵アイヌ関係著作集〈6〉アイヌ語地名解」みやま書房 p.235 より引用)

といった漠然とした疑問を呈していましたが、山田秀三さんは「北海道の地名」で

 今は鮭捕獲場があり,季節になると川の砂浜で鮭祭りのような事が行われている。昔も好漁場だったのでこの名で呼ばれたのであろう。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.295 より引用)

と解釈していました。祝祭場の一種と考えてもいいのかもしれませんね。

オシタップ川

o-{si-tat}-us-pet??
河口・ウダイカンバ(の樹皮)・多くある・川


池田町西部の川で、下流部では「新オシタップ川」でまっすぐ十勝川に注いでいます。どうでもいいですがこの「新オシタップ」という川名、薬品感が満載ですよね……(汗)。

また、地理院地図では、池田町利別の南部を流れる川も「オシタップ川」となっています。この川はかつての十勝川ですが、十勝川は改修の結果、南西側の新川を流れることになりました。取り残された旧・十勝川にはオシタップ川が注いでいたため、オシタップ川の下流として扱われることになった……と推測できます。

ややこしいのが、現在のオシタップ川は「新オシタップ川」で十勝川(新川)に注ぐようになったため、本来のオシタップ川と旧・十勝川のオシタップ川にはつながりが無くなっているという点です。川名が移転したと誤解されてしまいそうですね。

この「オシタップ川」ですが、昔の地形図には「オシタプシペ」とあります。どう解釈したらいいものかちょっと考えましたが、o-{si-tat}-us-pet で「河口・ウダイカンバ(の樹皮)・多くある・川」と読めたりしないでしょうか(ちょっぴり弱気)。

フンベ山

humpe
クジラ


JR 根室本線・利別駅の北に位置する山の名前です。1980 年頃の土地利用図には「フソベ山」と記されていて「おいおいおい」と思ったものですが、幸いなことに現在の地理院地図では「フンベ山」となっています。

この手の地名は更科さんが得意そうです(何となく)。ということで、更科源蔵さんの「アイヌ語地名解」を見てみましょう。

 フンベ山
 利別市街北西の一七〇・六メートルの小山。フンベは鯨のこと。昔鯨が津波で押しあげられ、この小山になったという伝説がある。
(更科源蔵「更科源蔵アイヌ関係著作集〈6〉アイヌ語地名解」みやま書房 p.236 より引用)

はい。やはり「フンベ」は humpe で「クジラ」と考えて良さそうです。「クジラの形をした山」と解釈するのが適切なのでしょうね。

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