2020年10月4日日曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (769) 「幌子芦別川・サキペンベツ川・ペンケリヤウシ川」

 

やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)

地図をクリックしたら地理院地図に飛べたりします。

幌子芦別川(ほろこあしべつ──)

horka-(as-pet)?
U ターンする・{芦別川}

(? = 典拠あるが疑わしい、類型あり)

芦別川には「三段滝」という景勝地がありますが、そのすぐ上流側(南川)で芦別川に合流する西支流の名前です。現在川沿いに道道 135 号「美唄富良野線」が絶賛建設中です。

「北海道地名誌」には次のように記されていました。

 幌子芦別川 (ほろしあしべつがわ) 芦別川左支流。アイヌ語「ポル・ウㇱ・アシ・ペッ」で洞窟のある芦別川の意と思う。
(NHK 北海道本部・編「北海道地名誌」北海教育評論社 p.230 より引用)

読み方からして違うのですが、大正時代に測図された陸軍図でも「ポロコ」とルビが振られているので、やはり現在でも「ほろこ──」と読むべきなのではないかなぁ、と思わせます。

この「幌子芦別川」、上流部に遡ると(西に向かうはずが)どんどんと北上してしまうという、典型的な「U ターンする川」のようです。改めて「東西蝦夷山川地理取調図」を見てみると「ホリカアシヘツ」という名前の川が描かれています。

ということなので、horka-(as-pet) で「U ターンする・{芦別川}」と考えるのが自然なのではないかと思うのですが……。

サキペンベツ川

sakipe-un-pet??
サクラマス・いる・川

(?? = 典拠なし、類型あり)

芦別川の東支流で、川沿いを道道 135 号「美唄富良野線」が通っています。道道 135 号の芦別と富良野の間の区間は既に開通済みで、札幌と富良野の間の最短ルートとして広く使われています(かなり走りやすい道です)。

残念ながら「東西蝦夷山川地理取調図」には描かれていないようなので、「サキペンベツ」という音から意味を考えてみましょう。

saksak-ru などでおなじみの「夏」を意味する語彙で、また re-sak-pet のように「無い」を意味する場合もあります。ipe は「食べる」あるいは「食べ物」を意味しますね。ですので sak-ipe は「夏の食べ物」となりそうな予感がしますが……

知里さんの「動物編」で答え合わせをしたところ、sakipe は「サクラマス」を意味するとのこと。

§68. サクラマス Oncorhynchus masou (Brevoort)
Salmo milktschitch (Walbaum)
( 1 ) sakípe(サきペ)[sak(夏)ipe(魚)]《屈; 長》
(知里真志保「知里真志保著作集 別巻 I『分類アイヌ語辞典 動物編』」平凡社 p.52 より引用)

ということなので、sakipe-un-pet で「サクラマス・いる・川」あたりの意味だったのでは無いでしょうか。

ペンケリヤウシ川

penke-riya-us-i?
川上側の・越冬する・いつもする・ところ

(? = 典拠未確認、類型多数)

芦別川の東支流の名前です。南側(川上側)に「ペンケリヤウシ川」が、北側(川下側)に「パンケリヤウシ川」があります。penke-(川上側の)と panke-(川下側の)がちゃんと揃っていることになりますね。

この川も「東西蝦夷山川地理取調図」には描かれていないようですが、意味するところは penke-riya-us-i で「川上側の・越冬する・いつもする・ところ」と考えて良いかと思います。

さて、いったい何が越冬するのでしょう。シカとかでしょうか……?

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