2018年12月15日土曜日

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アイヌ語地名の傾向と対策 (588) 「フトロノ沢川・ペンケ川・バッタリの沢川・札滑」

 

やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院の地理院地図から配信されたものである)

地図をクリックしたら地理院地図に飛べたりします。

フトロノ沢川

putu-ri??
その河口・高い


西興部村東部の藻興部川沿いに「中藻二」という集落がありますが、集落のすぐ近くで藻興部川と合流する南支流(南から北に流れている)の名前です。

音からは「太櫓」と同様に put-oro で「河口・のところ」かな、と思わせますが、古い地形図には「プトリ」と記されていました。これだと putu-ri で「その河口・高い」と読めそうですね。

地形図で見たところでは、河口のあたりは段丘状になっているようで、そういった特徴から名前がついたと考えると、putu-ri の可能性が高いのかな、と考えたりします。

ペンケ川

penke-o-kuttar-oma-nay
上流側の・河口に・イタドリ・そこにある・川


penke-nay で「上流側の・川」でしょうね。以上!

……で済ませてしまうと流石に顰蹙を買いそうなので、もう少しちゃんと調べてみましょう。これまた明治の頃の地形図には「ペンケオクッタロマナイ」と記されていました。なるほど、川の名前が長いので思いっきり省略してしまったということなんですね。

penke-o-kuttar-oma-nay で「上流側の・河口に・イタドリ・そこにある・川」と読めそうです(o は「そこに」と解釈できるような気もするのですが、どうでしょう?)。

山田秀三さんの「北海道の地名」でも言及されていましたので、引用しておきます。

 明治31年5万分図で見ると,それぞれパンケオクッタロマナイ,ペンケオクッタロマナイであった。パンケ,ペンケは「下流の」,「上流の」の意。その後の処はオ・クッタル・オマ・ナイ(o-kuttar-oma-nai 川尻に・いたどり・ある・川)を続けて呼んだ形。
(山田秀三「北海道の地名」草風館 p.179 より引用)

どうやら同じ解釈にたどり着いていたようですね。一安心です。ペンケ・パンケを「上流の」「下流の」とするのは「川上側の」「川下側の」よりもわかりやすいですね。使わせていただきます。

バッタリの沢川

hattar???


西興部村中心部の北側を興部川が流れていて、流路がちょうど S 字状のカーブを描いているところがあるのですが、S 字の上半分のあたりで北西から合流する小支流の名前です(地理院地図には名前は記載されていません)。

地理院地図に名前がないどころか、実は他のソースにも全く記載を見つけられていません。ということで、そもそもアイヌ語に由来するかどうかから要検討ですが、アイヌ語に由来するのであれば hattar(「」)に由来する川名なんじゃないかなぁ、と想像しています。

札滑(さっこつ)

sat-kot?
乾いた・窪み


道の駅「にしおこっぺ花夢」は西興部村の「上興部」というところにあります(かつては同名の駅もありました)。「札滑」は上興部から見て南に位置する一帯の地名で、同名の川も流れていて興部川に合流しています。

古い地図には「サッコツ」と記されていました(割とそのまんまですね)。おそらく sat-kot で「乾いた・窪み」かと思われます。

地形図を見てみると札滑川の下流部(北側)は割と広く開けた谷になっています。きっと川の水量がそれほど多くないのか、あるいは伏流することが多いのか、そういった特色があるのでしょうね。

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